2012年
7月号
豊かな自然に恵まれた鈴蘭台キャンパス

親和力を養成します

カテゴリ:教育・スポーツ

神戸親和女子大学 学長 
三木 四郎さん

神戸の女子教育に125年の伝統と歴史を持つ親和学園。そこに女子大学が開校して45年。体育科教育学・運動学の研究者でもある三木新学長にお話を伺った

先生になるなら親和!独自の教育方針

─今年の5月に新学長に就任されました。親和では「3つの親和力」を唱えていますが、これはどのようなものですか。
三木 本学の教育モットーは「人に学び、人に生かす」ですが、それを実現するための力、人とコミュニケーションができる力、問題を解決する力、夢をかなえる力、この3つをあわせて本学では親和力と捉えております。
─学生たちは卒業時にこの親和力を身につけていますか。
三木 本学では、この親和力を身につけるために学外でのオフキャンパス教育に力を入れています。地域の施設や学校でボランティア活動をしたり、海外の研修に参加したりして自分を鍛えています。そこでは、他の人たちと協力して物事の問題解決に取組み、私たちのめざす親和力を身につけています。
 また、教職員と学生の関係も近く、意思疎通ができていると感じますし、教育実習の現場からも「親和の学生さんは明るくて、人とのコミュニケーション力がある。」という評価をいただいています。

学内に子育て支援センターを設置

─地域交流の一環として、学内で子育て支援をしているそうですが。
三木 学内に子育て支援センター『すくすく』を2008年に設立しました。『すくすく』で「ウィークリープログラム」「デイリープログラム」「スペシャルプログラム」などいろいろなプログラムを用意して、開設以来、のべ25,000名を越える親子を受け入れ、地域の皆様の子育てを様々な方面から支援しています。ここは学生にとって貴重な体験の場になっています。教育実習では学べるのは先生と子どもたちとの関係だけですが、『すくすく』では親と子との関係も学べると、学生たちからも評判が良いですね。
─ほかにも地域交流を積極的におこなっていますね。
三木 地域交流活動の中でも一番好評なのは、キッズオープンキャンパスです。「スポーツ教室」「絵本コーナー」など20以上のイベントを学生たちが企画し、地域の子どもたちや保護者の方々をお迎えします。2011年度の参加学生数は200名以上、来場者は600名以上にのぼります。
─国際交流も盛んですよね。
三木 理事長も、これから国際基準の先生を育成していこうと力を入れています。そのためには世界を広く見ることが大切と、カナダやイタリア、韓国、中国などの協定校で実習を体験しています。特にカナダではトロント大学の附属小学校で、実際に子どもたち相手に英語で授業をさせていただいています。また、留学生も韓国や中国から年間3~4名、日本語や日本文化を学ぶ学生を総合文化学科で受け入れています。

校祖の教えを未来へ

─学長のご専門は体育学・運動学ですが、どのような研究でしょう。
三木 体育学では、生涯スポーツの観点から体育授業がどれだけ子どもたちに大切かを研究しています。運動学の分野では、人間の動く感じを内側から共感分析し、運動習慣の大切さと学力・体力・生活力が関係し合っていること、子どもの成長に見合った指導法などを研究しています。
─学長は昨年、文科省から「生涯スポーツ功労者」として表彰されました。学内の部活動にも生かされていますか。
三木 本学には将来アスリートやスポーツ指導者を目指す学生もいれば、スポーツを生涯楽しみたいという学生もいます。バレーボール、ソフトボール、バスケットボール、テニスをはじめとした強化クラブもとても活発です。自分の経験を生かした、適切なアドバイスをするように心がけています。
─女子大学のメリットとは?
三木 女子大学の特長は、同級生が同じ目線で話し合えるところです。本音で学生同士がいろいろな問題について取り組めますし、同じ土俵の上で行事なども作り上げていけますので、「リーダーシップ」や「女子力」を発揮するには非常に良い環境だと思います。
─今後、どのような方向へと発展を目指しますか。
三木 大学のグローバル化もさることながら、まずは内側で学生を大切にしていきたいと思います。ここで学んだり仲間と関わったりする中で新しい可能性を発見して巣立ってくれれば、大きく人生も広がっていくでしょう。われわれ教職員としても新しい可能性を引き出せるように、それぞれの学科で専門分野をしっかりと教えていきたい。
 そして、人間教育として一番大切な、校祖・友國晴子先生が言われた校訓「誠実 堅忍不抜 忠恕温和」を身につけた学生が自分の可能性を実現すれば、新しい女性リーダーとして活躍できるのではないかと思いますので、伝統をきっちり見据えながらも新しい時代に対応していきたいですね。

豊かな自然に恵まれた鈴蘭台キャンパス


キッズオ-プンキャンパスで子どもとふれ合う学生


Regin Mundi(イタリア)での文化交流会


全日本選手権に出場し、平行棒優勝。1967年東京ユニバーシアード大会団体優勝



神戸親和女子大学 学長 
三木 四郎さん

三木 四郎

神戸親和女子大学 学長 
東京教育大学体育学部卒業、大阪教育大名誉教授。日本スポーツ運動学会会長(2012年3月まで)、大阪スポーツ振興審議会会長(2005年~2007年)、中央教育審議会スポーツ青少年分科会委員(2003年~2011年)、2008年 神戸親和女子大学発達教育学部教授児童教育学科長、2010年~2012年学生サービス担当教務部長。2012年5月18日神戸親和女子大学学長就任。

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