3月号
ゴルフウエア業界の新たなマーケットを創造する
グリップグループCEO 桑田 隆晴さん
ゴルフウエアのマーケットに新しい風を吹かせた「GRIP」。起業18年、資金力も実績もなく可能性という夢を斬新なアイデアと新たな手法で現実に変え成長を続けている。神戸から世界へチャレンジしている。グリップグループGRIPの桑田隆晴さんにお聞きした。
無風状態のゴルフウエアマーケットに可能性を見出す
︱ワールドを退職しての起業は大きな決断だったのでは?
大好きなワールドでは20代の若いころから重要な仕事を任せて頂けましたから、40歳を迎える頃には1クールも2クールも終わったような感じでした。次の人生のステージを会社から指示を受けるのか自ら切り開くのかどちらにしても大きくチャレンジしたいという気持ちでいっぱいでした。
︱ゴルフウエアという分野を選ばれたのはなぜ?
当時は大企業だけがゴルフウエアのカテゴリーを扱っていました。今は多く参入していますが大企業はこの分野ではスピード感が欠けていると感じていました。ベンチャーのスピーディな発想、判断がマーケットに変化を与える事が出来る。既存ブランドのマーケットに参加せずコンペジターにならず新しいマーケットを創造することは可能であろうと信じてのスタートでした。「先駆者として挑戦するべき」という感覚が若い頃から身についていたと思います。
︱新たなマーケットを創造できる可能性とは?
大手ならパワーゲームで既存マーケットに投資して勝ち続けることは出来るかもしれませんが新しいビジネスモデルで新たなマーケットを創造するほうが愉しく夢がある。隙間を狙っても夢のある企業にはなれない。そんなポリシーが起業当時よりありました。もっとドレスアップした大人のゴルフウエアを欲しているプレーヤーが必ずいるはず。そこに新たなマーケットを創造することに魅力があり可能性があると考えました。
地域一番の高感度百貨店で一番よいスペースに絞り提案
︱知ってもらうためにどういう手法をとられたのですか?
宣伝的な手法ではなく広報的手法が効果が大きいと考えました。『PRESIDENT』へ自分から出向き取材をお願いしビジネスモデルのひとつとし編集長に興味をもって頂きました。それが呼び水となり多くの取材を頂きました。
︱大手百貨店に絞るとは、ベンチャーとしては大胆ですね。
誰も知らないブランドの価値を高めるためにはビジネスのスタートは誰もが注目するところしかないというのがシナリオのひとつです。新たなMDを導入したい百貨店は地域一番店であることも事実で新しい風を吹かせたいという強い思いに賛同頂きよきスペースで展開させて頂きました。
いい人たちとの出会いがチャレンジの道を開いてくれた
︱説得力のあるプレゼンと魅力的なデザインがものを言ったのでしょうね。
私たちのチャレンジに興味を持ちその可能性にチャレンジして頂けたから道が開けました。
ファイナンスをおろして頂く大手商社へのプレゼンでもよき出会いに恵まれました。今も最高のパートナーとしてお付き合い頂けております。私はデザイナーではないので99%がビジネスプレゼンでデザインに関してはほんの一部しかありませんでした。ただお聞きいただく商社マンもビジネスモデルやPL.BSのほうがわかりやすく、事業展開に興味を持っていただけました。社内メンバーもプレゼンで集めよき企画マンやデザイナーに恵まれブランドはスタートしました。
ブランドの拡大展開
︱ブランド展開はどのように?
スタートのHeal Creekが百貨店とアパレル専門店に向けてのスタートです。インポートのMDも必要と考えイタリアのCHERVO、スウェーデンのJ.LINDEBERGをエクスクルーシブで契約しました。アメリカのMDも必要と捉えカジュアル系のRosasenというように新たなマーケットの創造から確立に向けて9ブランドとなったというところでしょうか。
︱ゴルフ人口は減ってきているというのは不安材料では?
日本の人口が減るのですから減るのでしょうが、一人当たりのプレー回数は増えています。また海外展開も早い時期からしているので、世界での可能性は大きいと感じています。ゴルフ場に海外資本も入ってきてカジュアルなゴルフ場も多くなりました。また伝統的な格式あるゴルフ場も魅力的でゴルフの多様化が進んでいます。若い人から熟年層まで楽しめるスポーツとして健康志向もあり定着し成長するものと考えています。また結婚や子育てで一度遠ざかった女性のリターンも増えてきました。
︱テレサ・ループロとの契約は?
ブランドではなくGRIPという企業で契約しました。初めての試みですが一人の女性が多くのスタイルで楽しめることを目指しています。起業当時もう18年も前のことですが就職活動で出向いてくれた女子大学生がアパレルと思って応募したけれどゴルフですか?と、がっかりした事も思い出します。そんな時代はすぐに過ぎ女子プロも男子プロも契約ブランドをファッショナブルに着こなしアイドル的な存在も出てきました。テレサプロには更にそれを超えブランドではなく自由な着こなしで愉しんでもらっています。
神戸の感覚と、いい空気感が世界へと後押ししてくれる
︱PITTI IMMAGINE UOMO 95への参加は、海外へのマーケットを見据えてですね?
会社の成長を考えると海外に目を向けることは必須です。アジアではゴルフを社交の場として捉える事も多く着飾るという概念も持っています。欧米では大半はスポーツとして捉えていますのでゴルフでもファッションをもっと愉しんでほしいと言う気持ちでスポーツの展示会ではなくフィレンツェで行われているPITTIにあえてゴルフとして応募し参加させて頂ける事となりました。ゴルフウエアとしては唯一選ばれています。
︱今後のブランド展開と新たなチャレンジは?
現段階では必要と思うゴルフウエアのMDラインナップはほぼ全方向持つことが出来たと思っています。エレガンスではないウエアもありますが、そこは私たちのターゲットではないので展開しません。新たなチャレンジはもの軸ではない取り組みといったところでしょうか。これは次世代の若いメンバーに託し健全に継承していくことが私の最高に重要なチャレンジです。マーケットから認めてもらえるようなチャレンジを若い人材が創りながら成長させてほしいと思っています。健全な経営で成長させ無謀な方向に進まないように修正するのが私の役目でしょうか。現段階では利益のみを追求するのではなくマーケットシェアを高めることが重要でチャレンジ性のあるビジネスモデルで魅力を高めステージを上げることが先決と考えています。引退するわけではありませんが、メンバーの成長が最大のミッションです。
︱神戸の街とは?
地方都市“神戸”には、全国ネットにのせられる独特の響きがありますね。世界へ出て行くにもエレガンス志向を持った神戸の感覚が後押ししてくれると思っています。魅力的な企業のトップと親しくお付き合いさせて頂ける土壌がありこれらの企業やトップから学ぶことは変えがたい宝となっています。上場企業や世界や日本でトップの皆さんと語り合ったり気軽に話せたり食事をしたりお酒を飲んだりもちろんゴルフをしたりすばらしい空気感のある街です。
グリップグループCEO 桑田 隆晴さん(くわた たかはる)
大阪市出身、1981年龍谷大学経済学部卒。株式会社ワールドを経て2001年5月に神戸三宮にゴルフウエアの企画販売を手掛ける株式会社グリップインターナショナルを設立。関西1号店をうめだ阪急に、関東1号店を伊勢丹新宿本店にオープン。現在、主要都市の百貨店、ゴルフ専門店、路面店マーケットごとに9ブランドを展開する。
Fine Second神戸本店
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