10月号
多文化共生の心を育む伝統のある小学校 神戸市立こうべ小学校
相楽園の東隣、諏訪山の麓の閑静な場所に佇む神戸市立こうべ小学校は、発展する神戸の街を見つめ続けてきた歴史ある小学校。平成8年(1996)、神戸諏訪山小学校と北野小学校が合併・統合して誕生したが、その系譜をたどると一世紀以上の時をさかのぼることができる。神戸諏訪山小学校は平成2年(1990)に神戸小学校と諏訪山小学校が統合して開校。神戸小学校は明治17年(1884)に神東小学校・神西小学校、花隈小学校・上田小学校の4校が統合され開校した学校で、諏訪山小学校も明治33年(1900)、北野小学校も明治41年(1908)と、いずれも明治時代に開校した由緒ある学校だ。
現在714名が通っているが、統合を繰り返していることもあり、校区はおおよそ、東は新神戸駅~神戸市役所に至るフラワーロード、西は諏訪山公園から元町商店街に至るライン、南はメリケンパーク~ハーバーランドの一部、北は再度山ときわめて広範囲で、神戸の都心部から港湾、観光地までさまざまな表情を持つ地域をエリアとしている。
国際都市神戸の中心を校区とするため、外国籍の児童も多い。日本語が得意ではない児童に日本語指導をおこなう国際教室も設置。父母や祖父母などが外国出身など海外にルーツを持つ児童も約90名と多く、その国と地域の数は25か国にも及んでいる。英語教育にも力を入れており、低学年から英語に親しむ教育の試みも。国際色豊かなので、外国籍の児童がこの校区を選ぶ例も多いそうだ。
コミュニケーションを通じて多文化共生の心を育てる教育方針で、児童は学習意欲が高く、個性が豊かである。地域との交流も盛んで、春には相楽園へ「春見つけ」へ、4年生になると県庁や県警を見学に。6年生になると全員が伝統の「こうべ太鼓」に参加、北野こくさい夏まつり、すわやま盆踊り、元町夜市、神戸マラソンなど地域のイベントで見事な演奏を披露している。地域の人たちも「見守り隊」として登校時の安全を守り、PTAの活動も活発だ。
様々な国々の文化を体験し、学ぶ「こうべふれあいフェスティバル」は今年で14回目をむかえる。
大きなくすのきがどっしりと根を下ろす校庭には、秩父宮妃殿下お手植えの樹木や記念碑などが歴史を刻む。その伝統は、常に未来と世界を見通した教育という礎の上に成り立っている。
神戸市立こうべ小学校
神戸市中央区中山手通4-23-2
TEL.078・221・2539