2月号
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WHISKY HARBOUR KOBE
実行委員会メンバー座談会
2019年、神戸のバーテンダー有志で結成した実行委員会。2020年の開始に向けてイベント開催の準備を進めるもコロナで中止に。2022年のプレイベント(ゼロ回)を経て、2023年に開催した初回からを振り返りながら、ウイスキーの魅力を熱く語ります!
ウイスキーを通じて
神戸という街の魅力発信
…ウイスキーハーバー神戸(以下WHK)開催のきっかけは?
宮森 修業時代、全国各地で開催されるウイスキーイベントへ手伝いに行っていました。イベントはもちろん、地元の美味しいものを食べたり飲んだり、観光したり。それがすごく楽しかったし、出展者の方やお客様もイベント+αでその土地を満喫しているのを見て、神戸でも出来たらいいなと思いました。それでウイスキーを通じた交流イベントを実施しようと企画したんです。
村本 宮森君の声掛けのもと、神戸のバーテンダーらの有志で実行委員会をつくって、毎年手探りでやってきました。
宮森 いざやってみると、想像以上に大変でしたね。
川上 自分達はもちろん、サポートスタッフの人達のこともありますし。
村本 皆、自分の店の営業をしつつの準備だから。
宮森 イベント名一つとってもアレコレ考えて。「ウイスキートーク福岡」「秩父ウイスキー祭」「ウイスキーラバーズ名古屋」など、他のキャッチーな名前と差別化するべく神戸を連想できる名前にしようと、案を出し合って「ウイスキーハーバー神戸」に決定。確か、もう一つ候補が…。
村本 「ウイスキーウイスキー」。文字遊びが好きなうちのお客様が“ウイスキーは私達(WE)も好き”という意味で考えてくださったんです(笑)。
川上 そうそう、いい案だったから迷った。
熊野 WHKは県外からのお客様も多いからイメージも大事。僕は卸売&インポーターという仕事柄、メーカーさん、バーテンダーさんと接する機会が頻繁にあり、皆さんから「神戸らしい、いいイベントだね」と評価いただいています。
宮森 回を重ねるごとに少しずつ良くなっているのは確かですね。神戸市の後援、観光局や企業など、サポートの輪も広がってきました。今年はチラシを早めに製作して、バーや飲食店、商店街などにもご挨拶を兼ねて伺い、神戸の人達への周知の最大化を意識して活動中です。
村本 WHKを通じて、神戸の街全体が盛り上がってほしいという想いがありますからね。
自由度が高いウイスキー
様々な飲み方で堪能しよう
…ウイスキーって、とっつきにくい印象があるのでは?
熊野 そう考えている人にもぜひご来場いただき、広い領域の人にウイスキーの魅力を知ってもらいたいです。
川上 「ウイスキーの美味しさがよくわからない」という人もきっと魅力を感じてもらえると思います。
宮森 僕自身も実はバーテンダーになるまでウイスキーが苦手でした。度数の強さに押されて、原酒が持つ繊細な香味までたどり着けなかったから。ただ飲み続けていくうちに美味しいと思える瞬間が来たので、WHKがそんなきっかけになることを願っています。ウイスキーが年数をかけて熟成するように、奥深い価値を掘り起こしてもらえればと。
村本 ウイスキーは味の違いがわかりやすいお酒。クセのあるものもあれば、スモーキーなものもあり、あっさりした風味のものもある。会場では無料で試飲できる銘柄が多数あるので、ぜひ飲み比べてほしいですね。味の違いについて語り合う会話がまた楽しい。ストレートやソーダ割り、自由な飲み方で好みを探っていただければと思います。
川上 ウイスキーは熟成させる樽で味が変わります。「美味しくない」と思ったお酒でも、違う樽で熟成したものは好きになる可能性もある。また10年、20年と熟成の年数によって、味が変わっていくのも魅力ですね。
宮森 初心者の方はまずハイボールを飲んでからストレートで飲むなど、アルコールを口に慣らすことがポイント。ストレートやロックで飲んだものを口で転がして、マンゴーやパッションフルーツなどの果物や蜂蜜とか、何か一つでも自分の中に美味しいと思える要素を拾えるようになってくると面白いですよね。
川上 水を口に含み、口の中で水割りを作る(笑)という楽しみ方もあります。
村本 今年はストレートでの試飲のみならず、炭酸で割って楽しめるブースも登場予定です。
熊野 僕は大学生の時の一気飲みとか(笑)、ウイスキーには美味しい思い出があまりなかったのですが、仕事柄、ウイスキーの資格をとって奥深さにハマりました。WHKでは色々と学べることも魅力。「ウイスキーの勉強をしたいから毎年行きます」というプロの方も多いです。
宮森 WHKで魅力を知ってもらって、神戸のバーでゆったりとウイスキーを楽しんでもらうのが理想。例えばカクテルは一定のスピードで飲まないと味が落ちてしまいますが、ウイスキーのストレートは30分かけて飲んでもOK。空気に触れることで香味の変化も楽しめます。ウイスキーには年配の男性が飲むイメージがあるかもしれないけれど、WHKでは女性のお客様や若いカップルも多いです。老若男女問わず、幅広い層に愛してもらえるお酒として、多くの方に楽しんでもらいたいと思います。
名だたる蒸留所や生産者
作り手との交流がまた楽し
…出展者はどんな方たち?
熊野 近年注目の「ジャパニーズクラフトウイスキー」は、日本国内の蒸留所で作られた身近さが魅力。今回も吸引力が絶大な人気蒸留所さんが多数出展くださっています。
宮森 地元兵庫の江井ヶ嶋酒造さんは1919年に日本初のウイスキー製造免許を取得。その前の年にニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝氏がスコットランドにウイスキー造りを学びに行ったというくらい古くから日本のウイスキーの歴史と共に歩んでこられました。2017年にできた新進気鋭の蒸溜所・明石酒類醸造さんも出展いただきます。ここの海峡蒸溜所はシングルモルトのファーストリリースがまだ出ていないので、ぜひWHKでお披露目してもらいたいとアプローチ中。あと海外からの評価も高いクラフトディスティラリーのパイオニア、イチローズモルトのベンチャーウイスキーさんなど、人気生産者の皆さんに参加いただけていることに感謝しています。
村本 国内では新しい蒸留所も増えてきていますよね。
宮森 産声を上げたばかりの蒸留所にも出展いただき、ウイスキーになる前の過程をお披露目していただくことで、お客様に推しの蒸留所を見つけていただきたいと思います。
川上 WHKを通じて、日本のクラフトウイスキーの歩みを応援できるということですね。
さらに進化、魅力アップで神戸を代表するイベントに
…今後の抱負を教えてください。
宮森 お客様に喜んでもらえる内容にするためにも、手伝ってくださる神戸のバーの皆さん、出展者の方に評価いただける準備やケア、情報発信、企画のブラッシュアップが大切だと考えています。
村本 地域の皆さんから「またWHK開催の時期がやってくるね!」という声をいただくことも増えてきました。WHKの存在が知れ渡り、ウイスキーの魅力を知った人が別の人を誘ってきてくれる。新しい人も、ちょっとウイスキーを知っている人も、通な人も、人と人、人とウイスキーが繋がっていく。いい連鎖反応を起こし、新しい出会いが生まれれば嬉しいです。
川上 WHKは蒸留所や生産者さんに多く出展いただいていることもあり、ウイスキー好きな方はもちろん、初心者の人にぜひ来てもらいたいと思います。ウイスキーに合うフードブースも楽しんでいただけますよね。
熊野 「自分達もやりたい」と声を上げてくれる、僕達の後を継ぐ次の実行委員となる人との出会いを期待しています。ウイスキーに興味を持つ方を増やし、ウイスキーの街、バーの街・神戸を定着させていきたいです。
宮森 ウイスキーイベントの現在の人気が高い功績は、福岡や秩父の先輩達が築かれてきたもの。色々と学ばせていただきながら、自分達の内容を磨き、続けていくことが大事。若い人達が繋いでいってくれれば、神戸の歴史のあるイベントになると思います。ウイスキー&バーの楽しさ、そして海外文化をいち早く取り入れた街、神戸の魅力を存分に楽しんでいただける企画を実施し、「4月はWHK」と認知され、『神戸まつり』のように末永く愛されるイベントをめざしたいです。
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昨年度の会場の様子
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座談会は「The Nineteenth Bar」にて実施
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実行委員長
宮森 和哉 氏
(The Nineteenth Bar)
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副実行委員長
村本 恭一氏
(Bar unpas)
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副実行委員長
川上 和希 氏
(Bar cask)
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実行委員会スタッフ
熊野 裕基 氏
(三陽物産株式会社)
The Nineteenth Bar
ザ ナインティーンス バー
お店のみならず、WHK実行委員長としてもウイスキーの啓蒙活動に尽力する宮森氏が2019年に開業。スコッチのシングルモルトを中心に、希少なボトラーズウイスキーやオールドボトル、ジャパニーズウイスキーなど500種以上のウイスキーをラインナップする。定期的にお店で開催するテイスティングイベントや、宮森氏が様々なコンテンツを発信するYouTubeチャンネル「Bar studio TV」も注目を集める。
神戸市中央区中山手通1-22-18 STELLA LUCE北野坂2F
078-242-0019
17:00~翌1:00(LO24:00)
日曜定休。連休は営業
https://the-nineteenth-bar.com/
Bar unpas
バーアンパ
日本の主な蒸留所はほぼ訪問済という熱烈なウイスキーラバーの村本氏。「店で飲んで気に入ったものを家でも飲んでもらいたいから」とバックバーはオフィシャルボトルを中心に構成。裏の棚には個性豊かなシングルカスクも用意し、ゲストの要望に応える万全の体制を完備。店名はフランス語で「一歩、一歩」を意味。「初めてバーに行くお客様の一歩目に選んでいただきたい」と語る村本氏の笑顔が、バーへの緊張を一瞬でほどいてくれる。
神戸市中央区中山手通1-3-10 三宮ローズプラザ1F
078-335-7725
17:00~翌1:00(LO24:30)
無休
https://www.instagram.com/bar_unpas/
Bar cask
バーカスク
三宮の路地奥にある、隠れ家的な一軒家バー。1階のカウンター席でしっぽりお一人様を楽しむもよし、2階のボックス席でお酒と共に仲間や恋人と語り合うもよし。樽を意味する店名にふさわしく、バックバーには希少なボトラーズウイスキーも顔を揃える。「ウイスキーはもちろんカクテルも好き!」という川上氏が腕を振るう各種カクテルも人気。冬はアイリッシュウイスキーで作るホットカクテル、アイリッシュコーヒーでホッと心を温めたい。
神戸市中央区下山手通1-5-11
078-381-7170
18:00~翌1:00(LO24:30)
日曜定休
https://www.instagram.com/bar_cask_kawakami/
KOBE BAR MAP 2025
酒類卸・三陽物産の熊野氏が作成する「KOBE BAR MAP」が1月17日にリリース。神戸市内のバー194店舗の情報を網羅するほか、シングルモルトスコッチ「オールドプルトニー」の紹介や同ウイスキーを用いたハイボールの紹介、初心者向けバーの愉しみ方などを収録。マップ配布と連動して、2/28(金)までの限定で、掲載のバーで「オールドプルトニー」を提供、お店を巡るとプレゼントが当たるラリーイベントを実施中。マップは観光案内所やWHK会場の三陽物産ブースで無料配布。
KOBE BAR MAPの詳細はこちら
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オールドプルトニー12年はバーボン樽で熟成させたシングルモルトスコッチ。海風をたっぷり浴び熟成した爽やかな海の風味が特徴で、港町・神戸のバーで楽しむのにぴったり!