1月号
The Experience~未来へ紡ぐ体験を~
一般社団法人神戸青年会議所(神戸JC)第66代理事長に森谷圭さんが就任した。JCの運営も自身の生き方もキーワードは〝Experience〟という森谷理事長にお話を伺った。
―初めての委員長時代に〝ほろ苦い〟経験をされたそうですね。
当時の私は30代になったばかり。「委員長は選ばれた人間にしかできない」と考え、神戸JCに所属している限りは「委員長になりたい」と思っていました。2020年度理事長が想いを込めた事業を実現するため新設された委員会に「選んでいただいた」と気持ちが高揚して、「やるぞ!」と意気込んでいました。ところが自分がやりたいことを押し通すことばかりを考え、諸先輩方のアドバイスも素直に受け入れられず、結果、理事長の想いを具現化できない〝ほろ苦い〟経験になってしまいました。
―翌年には近畿地区協議会で総務広報戦略委員会の委員長を経験されたのですね。
〝ほろ苦い〟経験を生かして何事にも謙虚に前向きにという気持ちになり、任された近畿地区大会実行委員長に取り組みました。振り返るとこの出向人事は「まだまだ学ぶべきことがあるから一度出向してこい」という意味だったと思います。大きな大会を担当し、その開催地だった彦根まで打ち合わせのために出かけ、「なんでこんな遠くまで…」などとちょっと思ったこともありました(笑)が、地元のLOMメンバーと話し合い、近畿2府4県、他地域の委員長との交流も広がりとても良い経験をさせていただきました。
―その後、日本青年会議所(日本JC)に出向されたのですね。
広報系の委員会で全国のメンバーに対してインナーブランディングの強化を推進する役目を担っていました。顔を合わせて議論することで良い考えが生まれるというJCの基本的な方針の下、コロナ禍でのリモートを解除する時期で、東京都千代田区の事務局まで度々出向きました。近畿での出向経験やLOMの副理事長職を通じて、JC活動の全体のイメージがだいたい掴めたと思っていたのですが、日本JCはスケールが全く違い、新鮮な経験をさせていただき新たな学びや発見が多々ありました。
―そして2024年度の理事長を引き受けることになったのですね。理事長基本方針に込めた思いは?
いろいろな出会いや巡りあわせに恵まれて、機会をいただけたと思っています。JCの活動を続けてきた中で「謙虚に前向きに取り組んでいれば機会は誰にでも平等に訪れる」と明確に感じました。それをキャッチできるか、できないかによってその後のキャリアや自身の成長が変わってきます。「まずはJCを体験しよう!」という思いを込めて「The Experience~未来へ紡ぐ体験を~」を基本方針に掲げました。
―特に力を入れたいことは?
ブランディング戦略に関しては重点項目だと考え、曖昧なまま単に情報を流すのではなく、きちんと戦略を立てて広報発信を行います。事業に関しては青少年育成に関する事業に注力したいと考えています。年間通じた神戸市内の小学生を対象として事業を行政や民間企業の皆さまと展開する予定です。
―ブランディングとは?
神戸JCに所属するメンバーはそれぞれまちに対して「何かをしよう」という想いを持って活動していますが、果たしてそれが市民に伝わっているのかといえば必ずしもそうではないと思います。例えば「みなとまつり」を神戸JCが主体となって開催していることを知らない市民は多いでしょうね。とても残念です。メンバーが何か月もかけて準備し、毎年頑張って開催に漕ぎつけています。「知ってほしい!」というのが正直なところです。
―青少年育成に力を入れようとする理由は?
私事ですが息子が2人います。「10年後、20年後、この子たちが成人したころに神戸のまちはどうなっているのかなあ」と考えたのがきっかけで、「子どものころ神戸でいろんなことをやったな」と心に刻まれるそんな原体験を持ってほしいという想いが生まれました。神戸の山やウオーターフロントなど自然環境を生かした事業を行政の方とも相談しながら実施する予定です。
―オータムフェスティバルは3回目の開催となりますね。
神戸のまちに似合う〝モノ〟神戸の文化に共鳴する〝モノ〟を発信したいと思っています。全国各地から〝何か〟を持って来ることも可能かも知れません。カッコいいものが似合うまち神戸がキーワードでしょうか(笑)現在、構想を練り始めているところです。
―2025年には大阪・関西万博が開催されインバウンドもさらに増えそうですね。
日本JCでは2024年度、全国のLOMとコラボしてインバウンドの方に日本の魅力を伝えるアドベンチャーツーリズムを推進していく予定だとお聞きしています。来て、見て、食べて、買うだけではなく、神戸だからできる体験〝Experience〟や魅力を明確にして一つのプランとして神戸JCからも提案していきたいと考えています。
―日本JC2024年度会頭に神戸JCから小西毅さんが選出されましたね。
「こんな機会はなかなかないぞ!」というのが個人的な感想です。私も会頭輩出時の理事長として「しっかりとお支えなくてはいけない」と当初は気負っていましたが、お支えするだけではなく、66年目の快挙をメンバーに対して「どう活用し、どんな機会を提供できるだろうか」と考えるようになりました。神戸から会頭を輩出するからこそ得られる機会があり、会頭が所属するLOMだからこそ巡ってくる機会があると考えます。出向者も増え、さまざまな活動に参加することも多くなります。この機会がメンバーにとって貴重な体験となるよう支援することが理事長の務めだと考えています。
―7年間、神戸JCで活動を続けてこられた感想をお聞かせください。
職種や仕事の環境、会社規模が違う多くの人たちとの交流は自分のビジネスにおけるマネジメントの参考になるものです。またJCは金銭的利害関係がない団体ですから、ある意味で会社運営よりも難しいといえます。1年間の理事長経験は、今後何十年と続く会社でのマネジメントに生かせると考えています。
―思い描くこれからのJC像は?
おそらくこれからもいろいろなものがもっと進歩し便利な社会になると思います。そんな時代だからこそ、超アナログで超原始的な人とのつながりを重視するJCにしか生み出せないものがあり、JCの価値がよりブラッシュアップされると信じています。
―これからの神戸のまちについては?
ストリートピアノの設置、アートイベントやジャズナイトの開催など神戸のまちではおしゃれな施策が目立ちます。まちの再開発も進み、どんどんと神戸のまちは進化し、カッコよくなってきているイメージがあります。若者が住みたくなるまち、若者が活躍できるまちになっていくだろうと大きな期待を抱いています。
―神戸JCの将来を担うべき人材に向けて、ひと言お願いします。
JCには活動に真剣に取り組んでいる素晴らしいメンバーがたくさんおられます。まちを想い、共に活動することは非常に有意義で、そんな視座の高い方々と巡り合えたことが一番の財産です。体力が有り余っている20代、30代の皆さん!社業にまい進してキャリアを積むことはもちろん大事ですが、若い時にちょっと外に出て俯瞰することも大事。同じ悩みを共有できる仲間づくりや多くの人とつながりを持つことが後々、社業や自身の人生にとって宝物となるはずです。
2024年度 一般社団法人神戸青年会議所 第66代理事長
森谷 圭さん
1988年生まれ。立命館大学卒業。株式会社モーリヤ専務取締役。17年 神戸青年会議所入会。20年 SDGs推進特別委員会委員長。21年 近畿地区協議会 総務•広報戦略委員会委員長。22年 副理事長。23年 政策顧問。公益社団法人日本青年会議所 対内広報確立委員会委員長。24年 神戸青年会議所 第66代理事長