2022年
3月号
3月号
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木のすまいプロジェクト|平尾工務店|瓦編|Vol.2
失われつつある日本伝統の建築文化を未来へ。
連綿と受け継がれてきた匠たちの仕事をご紹介します。
原料
今回から瓦がどのように生産されているか、平尾工務店が使用している三州瓦を例にご紹介します。江戸時代から淡路・石見と並ぶ日本三大瓦の産地のひとつに数えられる三州とは三河=愛知県東部のことで、現在も高浜市・碧南市一帯の地場産業として受け継がれ、愛知県は瓦の生産量日本一です。
瓦の原料は粘土です。つまり土、完全な自然素材なのです。愛知県では瓦づくりに適した粘土がたくさん取れます。粘土の採掘場では地層の中から粘土層を見つけ出して採取し、粘土工場へ運びます。
粘土は採取した場所により性質が違い、これらを適宜配合することで瓦の原料となります。三州では山土粘土と地土粘土、そして砂利などの採掘時に発生する水簸粘土の3種類をブレンドし、さらにシャモットを加えます。これは、製造過程で規格外品にとなった瓦を砕いて再利用したものです。リサイクルにも配慮しているんですね。
これらをミックスして、石や木片などの異物を取り除き、混練機で混ぜ、クラッシャーという機械で細かくすりつぶすという破砕処理を繰り返し、水を混ぜ合わせて最適な堅さとなる水分量に調整、貯留マスで2~3か月寝かせて熟成させます。
完成した配合粘土の原土は瓦工場へ運ばれ、真空土練機に投入されます。水を加えてしっかり練ることで、成型しやすい粘りがでてきます。また、真空状態で空気を抜くことで、焼成時に割れず、しっかりとした強度のある瓦になります。これで瓦用の粘土ができ上がります。
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粘土の採掘場
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シャモット
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粘土工場
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破砕処理
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数種類の粘土を配合
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貯留マスで熟成
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