2月号
旧湊山小学校再生プロジェクト 「NATURE STUDIO」 この春お目見え
自然と暮らしをつなぐ地域の拠点 Under Construction Now!
旧湊山小学校再生プロジェクト「NATURE STUDIO」この春お目見え
楽しさいっぱいの複合施設
再度山の裾野を走る山麓線の平野交差点の西、雪御所町の湊山小学校跡地が、まもなく「NATURE STUDIO」として生まれ変わり、新たな展開を迎える。
オープンはこの春の予定だが、それに先だち1月16日に現場見学会が開催され、多くの参加者たちがヘルメットをかぶって実際に工事現場をウォッチしながら、プロジェクトのコンセプトや未来像の説明に耳を傾けた。
NATURE STUDIOは北館・東館・西館の3棟と、PICNIC GARDENで構成される。うち西館は約2年後に新築、当面はその用地を駐車場として活用するとのことで、今回は校舎をリノベーション中の北館と東館の案内となった。
東館は元体育館棟で、職員室や特別教室があった1階部分はなんと「みなとやま水族館」に!校長室がエントランスになり、理科室がクラゲなどのスペースになるそうだ。魚など水生生物だけでなく、鳥や小動物など約150種類のいきものたちがここで過ごすことになる。管理は須磨海浜水族園等でキャリアを積んだスタッフが担当、小さくとも楽しさと学びがギュッと詰まった施設になるだろう。また、小さなカフェ&ショップもオープン予定。見学会の段階では壁があるだけで、まったくどうなるのか想像がつかない。
2階には神戸を拠点に各地の地域性を昇華させた飲食店、「ひょうご五国ワールド」「青森ねぶたワールド」などを展開するワールド・ワンの物流センターと「あら、りんご。ファクトリー」が設けられるとともに、フードホールがオープンする。もともと体育館なので天井が高く、その開放感をダイニングに生かしていくようだ。工事現場では壁に穴を空けて大きな窓を造っている最中だった。
北館はもともと教室棟で、建築時期が新しい東側の部分のみを再利用。なお、西側部分の解体時には「湊山OPEN SCHOOL」というイベントを開催、懐かしの学び舎に別れと感謝を告げるべく、多くの人たちが集ったという。バス道からの入口に面する「顔」の一部に壁面緑化をおこない、エレベータを設けてバリアフリーにも心を砕く。見学会時は基礎的な工事が終わりつつある段階で、どう変貌するか楽しみだ。
その1階には園芸家が運営するハーブショップが出店。庭の管理もここのスタッフが担うとのこと。その隣、もと給食室はクラフトビール醸造所となる。銘柄は「Open Air」。アメリカ人の醸造家が腕を振るう国際的なブリュワリーとなりそうだ。
2階は雪御所児童館の分館として学童保育施設が、3階には小規模保育園が入り、地域の子育て拠点としても機能する予定。また、3階には就労支援施設も入居。庭の手入れや醸造所の作業などにも参画し、施設に欠かせない存在となるに違いない。
校舎の再生では一部黒板や棚、階段や窓のしつらえなどが残され、油と歴史が染み込んだフローリングも再利用される。壁の傷も残されたまま。思い出も未来へと受け継がれる。
PICNIC GARDENは誰でも気軽に利用できる憩いのスペースに。もともとある楠の古木を残し、芝生や畑なども広がるとか。また、池も設けられ、釣りが楽しめるようになるという。
ちなみに西館は高齢者福祉施設や医療機関、レストランなどが入る計画で、数年後には地域の福祉健康拠点となるだろう。
兵庫区北部の活性化も視野に
湊山小学校は開港間もない1873年、当時の石井村の悲願叶って創立。初等教育の近代化に大きく貢献し、多くの卒業生を輩出したが、2015年に神戸祇園小学校に統合されて141年の歴史を閉じた。その後、跡地活用事業者の公募があり、村上工務店が選ばれた。
「実はね、僕もここの卒業生なんですよ」と語るのは、プロジェクトを統括する村上工務店の社長、村上豪英さん。「もともとこの場所は、平清盛が住まった雪の御所の庭の地点と言われています。天王谷川と石井川に挟まれてその合流点に近く、女性の子宮の位置に見立てられ、何かが生まれる場所として選ばれたのだそうですよ」と、この由緒ある土地にありきたりの施設を建てるのではなく、清盛の思いを承継するように斬新な発想で計画を編み出した。
湊山エリアは戦前、神戸が急成長した時代の〝ニュータウン〟として開発され、戦災や震災で大きな被害にも遭わず、昔ながらの風情を残している。一方で駅に遠くて、坂道もあり道も狭く、古い住宅も多い。ゆえに転入が比較的少なく、少子高齢化や空き家が問題となっている。だが、実は神戸の都心に近く緑も豊か、コミュニティの温もりも昔ながらで、特に子育て世代にとって魅力があるエリアだ。
そんなこの地域に、サスティナブルでナチュラルな暮らしという可能性を付与することを視界に捉え、NATURE STUDIOは「自然と暮らす地域をつくる」をコンセプトとしている。さらに住民のニーズにも応えながら集客機能も持たせることで、地域の賑わいと交流を創出しようとしている。なるほど、ここにオープンするすべての施設がその方向性に合致しており、相乗効果をもたらしそうだ。実際に施設間の連携にも力を入れ、例えばハーブショップが育てた苗を、就労支援施設のメンバーが庭で育て、収穫したら調理してフードホールで提供するといったような〝チームワーク〟がNATURE STUDIOの一体感を生むに違いない。
そして、「地域の活性化を視野に、じわじわとプラスの影響を波及させていきたい」と村上さん。近隣の平野展望公園や、烏原貯水池周辺でも再生プロジェクトが進行中で、それぞれが連携し合いながら兵庫山手一帯の存在感と価値が向上すれば、いまいち元気のない神戸に少なからず刺激を与えるだけでなく、地域おこしのモデルケースとして全国に発信できるだろう。
株式会社村上工務店
代表取締役社長 村上 豪英(むらかみ たけひで)
1995年の阪神・淡路大震災の経験から、まちに対する愛着を実感。仕事を通してまちと自然の両面に貢献することをめざしてシンクタンクに入社。村上工務店に転職後に発災した2011年の東日本大震災を契機に、建築業の範疇を超えて、地域を活性化するための諸活動をはじめた。神戸モトマチ大学、アーバンピクニック、Street Table 三ノ宮の活動を経て、現在は「NATURE STUDIO」オープンに向け準備中
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NATURE STUDIO(運営委託 リバーワークス)
お問合せ TEL.078-381-6450
https://naturestudio.jp