2021年
6月号
6月号
神戸で始まって 神戸で終る ⑰
作品がどんどん増える一方で必要なのは、その作品を収蔵する倉庫である。東京の倉庫は結構高いので、もしかしたら神戸の方が安い倉庫があるのでは? とある日、神戸に行った時、兵庫県立近代美術館での個展のキュレーションをしてくれた山崎均さんに相談した。すると、「もしかしたら県所有の空いている建物があるかも知れない」と言った。「では誰に聞けばいいの?」と尋ねると「井戸知事さんに相談してみたら?」と彼は言う。まさか知事さんにこんな個人的な相談は出来ない、だけど当たって砕けろという故事もある。井戸知事さんとは、何かの受賞式で面識がある。思い切って電話をしてみた。その時は不在だったが、秘書の方が知事さんに連絡をしてくれて、知事さんとは車の中から電話を頂いて話が出来た。
「どういうことですか、何だったら芸術課の者を出席させて、お話をお聞きしましょう」ということになって、早速、芸術課の人達同席で、知事室にて井戸知事さんに直接面会することになった。
美術家 横尾 忠則
1936年兵庫県生まれ。ニューヨーク近代美術館、パリのカルティエ財団現代美術館など世界各国で個展を開催。旭日小綬章、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞受賞。横尾忠則現代美術館にて「Curators in Panic ~横尾忠則展 学芸員危機一髪」開催中(8月22日まで)。7月17日より、東京都現代美術館で大規模な個展が開催される。
http://www.tadanoriyokoo.com