5月号
Rhyme of LIFE Spice of SPACE |平尾工務店|chapter 11 ウッドデッキ
生活に一層の優雅さを添えるパターンとなる家
すなわち、我々が今日暮らしているこの国にふさわしい家
我々の生活の事情に叶った家
近代建築の巨匠、フランク・ロイド・ライトが追い求めた
理想と理念を受け継ぎつつ
生活にリズムを与えるこだわりの空間を
エスプリとクラフトマンシップを込めて…
神戸東モデルハウス
内と外は一体化
薫風そよげば木々の新緑が揺れ、皐月の花弁がほころぶ。木漏れ日が影絵を描き、壁泉に野鳥たちが遊ぶ。この住まいで一番早く爽やかな季節がやって来るのは、このウッドデッキだ。リビングやダイニングで過ごすように、ここで寛ぐ時間は心を潤してくれる。
社寺建築によくある濡れ縁の回廊のように、リビングからダイニングにかけて続くこのデッキを室内から眺めると、ガラスに隔てられてはいるものの視覚的には内と外は一体化しているようで、広さと開放感を感じられる。これぞまさに、神戸東モデルハウスが正統に継承している近代建築の巨匠、フランク・ロイド・ライトの哲学が生み出したマジックそのものだ。
そう感じられるのには理由がある。まず、床とデッキのレベルが等しく、フローリング材もデッキの木材も向きを揃えて貼られている。これはライトが1930年代から手がけたユーソニアンハウスの代表作の1つ、ジョン.Cピュー邸と同じ技法だ。また、リビング据え付けのローボードとデッキのベンチはいずれも煉瓦積みに十和田石の天板で、高さも統一。壁も室内・デッキ側とも同素材の煉瓦でストリームラインを描く。だから、まるで窓の向こうにまで繋がっているように見えるのだ。
ウッドデッキが内と外をおだやかに結ぶことで、庭と建物はより親密に開き合い、互いを一層引き立てている。ライトは述べた。「広がりゆく眺めとその統合的性格。そう、この新たな大地の感覚のなかにこそ、偉大なる人間的価値がある」と。