4月号
平尾工務店がつくる絶品トマト 「甘ほっぺ」がこの春デビュー
クオリティの高い住まいづくりに定評がある平尾工務店が、トマトの生産をはじめた。アグリ事業部、木ゴコロファームではこれまでも水耕栽培レタスなどを手がけてきた実績があるが、果菜類ははじめての挑戦。新設のトマトハウスでは、つややかな真紅のトマトが実っている。
最新の設備で効率的に
平尾工務店本社にほど近い丘に、真新しいトマトハウスが輝く。面積は1700㎡弱と広く、ここに27mと39mの畝が連続して14列も並び、15㎝間隔で植えられた株はその数約6,200本。向こうまで見渡せないほどトマトの〝林〟が続き壮観だ。
これだけの数の株をわずか5~6名のスタッフで管理・収穫しているというから驚くが、それを叶えるのはデータや自動化による管理システムだという。灌水はパイプを通じ、養分を含む水がわずかに漏れ出す仕組みに。室温、湿度、そして植物栽培に重要なCO2濃度はリアルタイムで観測され、例えば湿度が下がるとミストがオートで噴射されるなど、昼間で室温約22℃、湿度約75%という適切な条件になるように一部自動制御で管理。また、光が強すぎるときには遮光カーテン、温度が低すぎるときには暖房や保温カーテンで対応できるようになっている。
ものづくりの精神で栽培
作業の効率性を高めるための工夫もさまざま。受粉にはマルハナバチの力を借りているので、ハウス内はハチたちが羽ばたいている。畝間を広めにとって通路を確保し、シートを敷き快適な環境で作業ができる。蔓も身長の低い人でも届く高さに抑えるように誘引している。
とは言え、生きものが相手。ハチの働きが悪いときは手作業で受粉しないといけないし、最盛期は1日250㎏以上にもなる収穫の作業は手摘みでしかできない。大変な労働だと思うが、スタッフはにこやかに、しかもキビキビと動いている。農場長の谷口さんはハウス内をくまなくチェックし、常にトマトの状況を確認。少しでも異変があれば速やかにケアをする。
トマトづくりも、住まいづくりやものづくりと同じ。愛情を込め、丹精を込めて。平尾工務店のスピリットが息づいている。
甘さにフォーカスし差別化
目指したのは、とにかく甘さ。甘さで差別化を図る戦略だ。
ゆえに、栽培方法が一風変わっている。トマトの根が張る土壌の厚さは、なんとたったの1㎝。この下にフィルムを敷き、ナノサイズの穴からギリギリ漏れ出す水を吸わせ、水の量も最小限に抑えている。また、内陸ゆえに昼夜の寒暖差が大きいが、低温障害が発生しない程度に温度差を上手に生かしている。このように敢えてストレスを与えることで糖分が増すのだそうだ。
品種も糖度が8度以上にもなり甘さの乗りに定評があるミディタイプの「フルティカ」を選択。果皮が薄く、ゼリー質がしっかりして食感も良い。しかもリコピンを豊富に含む。それを枝で完熟させてから収穫するので甘みがより強い。これは果物だ。
収穫後は「甘ほっぺ」というブランドで展開。驚きの甘さとかわいらしい見た目で好評で、地元の道の駅や直売所の人気者になりつつあるようだ。また、平尾工務店本社にもショップ「mogiyomogi」を開設し、野菜工場のレタスやヨモギなどとともにもぎたてトマトを販売している。販売シーズンは11月~6月。
今後は飲食店への納入にも力を入れていきたいという。とにかく甘~いこの「甘ほっぺ」。ぜひ一度ご賞味あれ。