2020年
9月号
対談ホスト役の三好万記子さん(写真右)と山西康司さん(写真左)、明子さん(写真中央)。後ろは現代美術家、故・堀尾貞治さんの作品。芦屋神社・芸術祭のライブペインティングで完成させた名作

輝く女性Ⅲ Vol.9 芦屋神社 
宮司 山西 康司さん 権禰宜 明子さんご夫妻

カテゴリ:文化人, 神戸

インタビュアー・三好 万記子

人気料理サロン「ターブルドール」代表の三好万記子さんがホスト役となって、輝いている阪神間在住の女性にお話を伺うシリーズ。
おもてなし上手な三好さんとの対談から、どんなオイシイお話が飛び出すことでしょう。
今回、お話を伺ったのは…

芦屋神社 宮司 山西 康司さん 芦屋神社 権禰宜 明子さんご夫妻

1+1が2以上に。夫婦で力を合わせ、
神社の新しい未来を作っていきたいです。

縁結びの神、天穂日命を主祭神として、十七柱の神々をお祀りされている芦屋神社。芦屋の氏神として地元民から親しまれていることはもちろん、仕事の縁を結ぶ交渉の神様として名だたる企業の社長さん達からの崇敬も集めておられます。

…芦屋神社のもう一つの魅力とも言えるのが地域に根差した催しの数々。私もいくつか、食の部分からお手伝いさせていただきました。

康司さん もともと神社というのは芸術や文化の起源となった場所なんです。神楽などが芸能を起こし、境内に市が立ち、商売の発展へとつながっていきました。人が集う交流の場としての神社の役割を果たし、どなたでも気軽に足を運んでもらえるようにしたいとの思いがあり、芸術方面に明るい家内と相談して、多彩な行事を行うようになりました。
明子さん 母が別の会社を経営していることもあり、病気を患った父に代わって実家のギャラリーを私が切り盛りしていた関係で、懇意にしていただいている作家さんにお力をお借りしています。平成25年、芦屋在住の洋画家、森茂子さんの絵画展を皮切りに、”勝手にビエンナーレ"と称した「芦屋神社芸術祭」を隔年で開催。神社の参集所をギャラリー空間に変え、作品展示と制作実演をお披露目しています。
康司さん 芦屋が「具体美術協会」結成の地であることをご存じない方や芸術は敷居が高いと感じている方も少なくありません。文化的に豊かな芦屋の風土を取り戻すとともに、未来を担う子供さんに地域の良さを伝えることで、その子たちが大人になった時に語り部となって地域を守ってもらうための種まきをしている最中です。

…大人も子供も伝統ある神社さんで気軽に現代美術を楽しめるということで話題になりました。またジャズライブなどのイベントや季節の行事を随時開催されていますね。

明子さん
 人気の七夕祭は三好先生に企画いただいた「神饌に学ぶ」をきっかけとして続いているんですよ。今年は七月と八月に二回斎行し、計二千数百枚におよぶ皆さまのお願い事を書いた短冊をご祈願し、境内の笹木に飾りました。

…「神饌に学ぶ」は、平成28年から数回にわたって開催した六甲味噌さんとのコラボイベントですね。

康司さん 私が神様に捧げるお供え物・神饌や節句のお話をさせていただき、その後三好先生による神饌と六甲味噌を用いた料理デモを行い、直会として参加の皆様と一緒にいただきました。六甲味噌さんのご指導のもと、味噌を仕込む回もあり、とても好評でした。

…宮司様や六甲味噌の社長様のお話がとても勉強になりました。毎回、神主さん達がお召しになるご装束も浅黄色(水色)など、かさねの色目がセンス抜群。桃の節句に桃の枝を花神饌としたり、烏帽子に挿しておられたのもお洒落でしたね!

康司さん お花や装束は家内がコーディネートしています。最近、着物を着用される方が減っていることもあり、和装文化が廃れないよう、会合等にはできる限り着物姿で出掛けるようにしています。
明子さん 確か、三好先生のお母様もお着物関連の作家さんですよね。

…母と祖母が絽刺しをしていました。生地目に沿って直線に針を刺していく刺繍で、絽刺しした生地をアップリケのように縫いつけます。祖母の作品を施した帯が箪笥に眠ったままになっているので、私ももっと着物を着て、和装文化を発信していかなければ、と反省しています(笑)。

康司さん 日本人の習俗や先人の知恵を次の代へ伝え、引き継いでいくことが大切ですよね。「神道」は宗教というよりはむしろ古代人の「考え方」や「姿勢」を習慣化したものに近いんです。「常若信仰」といって、常に若々しくあることが尊重されており、女性にもぴったりの考え方なんですよ(笑)。

…日本古来より信仰される「神道」は過去と未来をつなぐ“今”を大切にしているとか。コロナで大変な“今”の生き方をどのようにお考えですか。

康司さん 死後、極楽浄土での幸せを願う仏教と違い、神道は現世での幸せを願い、„今"を積極的に元気に生きることが明るい未来につながるというポジティブ思考です。コロナは1日も早い収束を願うばかりですが、そういった神道の考え方から見ると、まずは„今"できることは何かを考えてみる。人にうつさないためにマスクを着用する、これも日本人特有の気遣いだと思いますね。コロナによって、人と人との深い心の結びつきや、家族や隣人に対する配慮について改めて考える契機となったと思います。
明子さん コロナ禍のなか皆さんが間隔をあけて、静かにお参りされている姿を見て、私たちももっと何かできないだろうかと常に考えるようになりました。大変な時期だからこそ、ご参拝の皆様が心を癒し、少しでも前向きになって気持ちよくお帰りいただければと祈念しています。

…芦屋神社では祝詞を書き写す「写典」を受け付けておられますね。

康司さん コロナの退散を祈る祝詞の文字をなぞっていただくもので、どなたでも約30分でできます。ステイホームのなか、何かに集中して成し遂げる生活のリズムをおつくりいただいたらと思います。

…気持ちをリセットする時間を持つことが心身の健康を保つことにつながりそうです。最後にプライベートのことも少し。明子さんはご結婚されるとき、ご自身が神社に携わることになるということはご承知だったんですか?

明子さん もちろんです。ただ若かったこともあり、あまり深く考えずに結婚しました(笑)。神職の資格を取ったのは、何かあったときに手伝えるように。姑が「私の仕事は次につなぐこと」と話すのを聞き、私も次につなげないといけないと。全国的に神主さんが減ってきていますので、神主は魅力がある、やりがいのある仕事であると次の世代に伝えていくことも私たちの役目だと思っています。
康司さん 後継者不足が深刻化する神社界で、きめ細やかに心のケアができる女性神職の役割は大きいと思います。実際に私一人では限界があります。家内が手伝ってくれることで1+1が2以上のものに大きくなっていく。私たちが力を注ぐと、職員たちも一緒になって頑張ってくれます。これからも夫婦で力を合わせ、神社の新しい未来を作っていきたいです。実は仕事のみならず、お休みの日も私の趣味の神社巡りにつきあってもらっています。
明子さん 色々な神社さんにお参りして勉強しています。印象深いのは島根の神社です。出雲大社さん、神魂神社さん、八重垣神社さん、あの世とこの世の境界線で有名な黄泉比良坂とか。
康司さん 島根の神社は高貴なイメージのお伊勢さんとはまた違った雰囲気の神々しさがありますね。私たちにもっと近いご先祖様にお参りしているような趣です。

…地方に出向かれることで地元・芦屋の良さを改めて気づかれることがあるのでは?

明子さん 芦屋の魅力は本物があることだと思います。しっかりとした価値観をお持ちの方が多く、神主である私たちも常に色々と学ばせていただいています。
康司さん そういう意味でも、人と人のご縁を大切にしていきたいと思いますね。

…お二人のお人柄から良いご縁が広がっていますよね。神職という遠い存在ではなく、私たちの目線まで下りてきてくださっている、本来の神職というお役柄はそうだったんだろうなと感じます。暗い話題が多いなか、本日神社でお話を伺い心が明るくなりました。先ほどの「常若信仰」さながら、ここには常に若々しい風が吹いている。いい“気”に満ち溢れているからでしょうね。

対談ホスト役の三好万記子さん(写真右)と山西康司さん(写真左)、明子さん(写真中央)。後ろは現代美術家、故・堀尾貞治さんの作品。芦屋神社・芸術祭のライブペインティングで完成させた名作

三好さんからの質問コーナー

Q.ハマっているグルメや気になるお店はありますか。

A.夫婦で二宮や芦屋、地元のお店巡りを楽しんでいます。芦屋の鶏料理店「永来権」さんや6月に開業された姉妹店「水炊きこはく」さんもお気に入りです。プルンプルンのコラーゲンの塊に火を入れると絶品の鶏鍋のスープに早変わり。美味しいお料理と美酒で、お店のご主人との会話も弾みますね。


芦屋神社 宮司 山西康司さん

神戸の二宮神社で代々宮司を務める社家に生まれる。父、山西乙平さんが宮司を務めるなか、國學院大学で神道を学ぶ。卒業後は兵庫県神社庁に勤務していたが、阪神淡路大震災を機に二宮神社の復興に専念。2010年末に師匠にあたる芦屋神社の宮司が急逝し、翌年1月より同神社宮司に就任。芦屋神社のご祭神・天穂日命は日本国民の総氏神「天照大御神」の次男、二宮神社では長男をお祀りし、宮司のみならず神様も血縁関係

芦屋神社 権禰宜 山西明子さん

三宮で生まれ育ち、中、高、大学と武庫川学院で学ぶ。康司さんとは友人の紹介で知り合い、仲間で集ううちに二宮&三宮と共通の話題が多いこともあり急接近。結婚後は、神職の資格を取得し神社の仕事を手伝いながら、実家が営むギャラリーほりかわを盛り立てる。ギャラリー閉店を機に宮司の補佐役として、アートに精通する洗練のセンスとギャラリー時代のご縁を活かし、芦屋神社を舞台とした様々な行事を企画、新しい試みを生み出し続けている


三好 万記子(みよし まきこ)

株式会社ターブルドール 代表取締役
神戸女学院大学卒。パリに3年間滞在中、フランス料理を学ぶ。ル・コルドン・ブルーにて料理ディプロマ、リッツ・エスコフィエにてお菓子ディプロマを修得。帰国後、西宮市・夙川にて料理サロン「Table d’or」主宰。また出張料理人としてケータリングも展開、料理はもちろんディスプレイを含むトータルコーディネートに定評あり。企業へのメニュー開発、レシピ提供など、「食」を幅広くプロデュース。二児の母。

〈2020年9月号〉
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