4月号
神戸市医師会が 阪神・淡路大震災25年 市民フォーラム
「感謝と創造 ~そして未来への備え~」を開催
神戸市医師会が 阪神・淡路大震災25年 市民フォーラム
「感謝と創造 ~そして未来への備え~」を開催
1月25日、神戸市医師会館大ホールで神戸市医師会がフォーラムを開催し、大勢の医療関係者と市民が集った。
震災後10年、20年に続き開催された25年の今回は庶務担当理事の水谷肇先生が総合司会を務め、開会前には25年前の凄惨な映像が映され、犠牲者の御霊に全員で黙祷を捧げた。
感謝、未来、経験の継承、備えというキーワードを語った置塩隆会長の開会あいさつに続き、Ⅰ部では復興への感謝として神戸市立なぎさ小学校の合唱部が舞台に。NHK全国学校音楽コンクール銅賞の実力を誇る45名の部員が震災で命を失った女の子を歌った「ゆめのふうせん屋さん」など3曲を披露、清麗な歌声で聴衆の魂を揺さぶった。
Ⅱ部では「新しい神戸のまちづくり」と題し、神戸市のプランニングを寺﨑秀俊副市長が解説。都心の三宮を再開発しつつ、名谷や垂水など郊外拠点をリノベーションし交通体系を整備、さらに新産業の育成・集積を目指す未来予想図を示した。
Ⅲ部では近藤誠宏副会長を座長とし、継承と備えを主題にしたシンポジウムで、マスコミでも活躍中の名古屋大学減災連携研究センターの福和伸夫教授の基調講演からスタート。「ホンネとホンキで必ずくる震災を乗り越える」と題したお話はユーモアに満ちていた一方で、防災行政のずさんさや国民の危機意識の低さを指摘し防災におけるこの国の実力の乏しさを厳しく指摘。過度な都市化は甚大な被害へと結びつくため、東京一極集中は国の存亡に関わる事態と危機感をあらわにした。また、神話や古歌、古文書などの史料からも大地震が歴史を動かしてきた事実や教訓を学んで、確実にやって来る大震災を乗り越えるために意識改革をと訴えた。
続いて全国初の防災関連学科の県立舞子高等学校環境防災科の2年生2名が学びや活動を紹介、防災意識強化と情報共有の大切さを唱えた。さらに神戸学院大学社会防災学科の女子学生で結成された「防災女子」の2人が活動事例をプレゼン。ローリングストックや災害時の調理についてもふれ、ロビーで災害食の試食もおこなわれた。
学生に続いて神戸市危機管理室の山平晃嗣危機管理監が神戸市におけるハード・ソフト両面の防災事業を解説。情報から避難行動への結びつきに課題が残ると指摘し、個人の備えや意識の重要性を説いた。救急担当理事の越智深先生は災害時医療供給体制について説明。災害時に求められる医療への対応や他都市医師会との連携などの話題も挙げ、神戸市医師会は災害時も市民を守っていくと誓った。
ディスカッションでは避難所機能向上について意見が交わされ、名古屋市医師会の加藤政隆副会長も急遽参加し、名古屋市の救護体制について説明。福和先生は自宅で安全を確保できる環境を整え避難所へ行く人を減らすことも大切と指摘した。
最後に白鴻泰副会長がフォーラムを教訓に今後に備えるべきとあいさつ。正しい知識できちんと備えることの重要性を再認識するフォーラムとなった。