8月号
「神戸タータン」は神戸のものづくりブランド
お洒落・ファッション, 神戸, 見どころ
2年間で200以上のアイテムが仲間入り
―石田原会長に続き、神戸タータンの「実働部隊」であるメンバーの皆さんにも、今回の日本マーケティング大賞奨励賞受賞について伺います。
植村 奨励賞は昨年、ナガサワ文具センターさんのインク『Kobe INK物語』が受賞されています。「神戸タータン」に関しては、全国的にはほとんど知名度がない状態なので、今回の奨励賞が、業界にどう評価されるのかまったくわからないのですが、ナガサワさんは昨年の受賞で変化はありましたか?
塚本 神戸の地域をカラーで表現して、インクにしているもので、今年12年目になりますが、神戸以外の東京や富山などでも代理店で販売することになりました。
片山 神戸の景色をテーマにしたインクカラーというのは、ユニークですよね。「神戸タータン」は2017年、開港150年に合わせて何かできないか、ということでスタートし、元町商店街から声がけしてやっていますけれども、三宮センター街や、ハーバーランドなど、神戸の中心部が集まってプロモーションできたのは大きかったですね。そして今回は加東市から、神戸タータンのハンカチを播州織で作ってくださっている阿江ハンカチーフの小田さんにも来ていただきましたが。
小田 おかげさまでよく売れています。作らせていただいているハンカチは、柄が一種類しかないのに、長い間売れ続けているのがすごいと思います。神戸タータンのデザインはユニセックスに使いやすいですし、贈り物にされている方も多いようですね。神戸の方は地元愛が強いので、他県の方にプレゼントされるのも多いようです。
塚本 ぼくは京都生まれで、18歳から神戸にいますが、魅力的な街だと思いますよ。あとは「京都人の神戸好き、神戸人の京都好き」というのはよくいわれます(笑)。
―神戸タータンのプロジェクトがスタートして約3年ですが。
植村 グッズの販売を始めてからは2年、この短期間でここまで広まるとは正直思っていませんでした。石田原会長はテーラーさんですから、まずネクタイを作っていただき、開港150年を機に神戸市の方にもいろいろなところでタータンを使ってPRしていただきました。今では、アイテム数も当初より数え切れないぐらい増えています。メンバーの各社様がそれぞれに良いものを作り出してくださっています。
河合 ナガサワ文具センターで作っているステーショナリーアイテムとしては、オリジナルブックカバー、フリクションボールペンなどがご好評いただいています。アントレマルシェ新神戸、NAGASAWA神戸煉瓦倉庫店など各店舗でよく売れていますね。
片山 神戸ロフト、東急ハンズ三宮店でも、神戸タータンのコーナーを設けてくださっています。東京ギフトショーに出品した際には、本社の方が関心を持ってくださり、催事へ出品させていただきました。この夏は7月27日~8月19日の期間、池袋ロフト、横浜ロフト、天神ロフトの3店舗で同時に「神戸タータン」の販売催事を開催します。多数あるグッズをピックアップして持っていこうと思います。
河合 また、このプロジェクトは「産官学」の連携ということで、いろいろな大学とも組んで開発などを行っていますが、今はマーケティングを学んでいる学生さんに、ファイルメーカーである「キングジム」さんと神戸タータンで何かを作ろうというお題を出しています。どんなものができるか楽しみです。
品質の良い神戸のものづくりを提案
―今後の展開はいかがですか。
植村 実は長崎にも、長崎タータンというものがあると伺いました。長崎のグラバー園のグラバーさんがスコットランド出身であるというところかららしいのですけどね。今度、ラグビーワールドカップが開催され、スコットランド代表も来日しますから、それに合わせて、神戸、長崎、そして函館、新潟、横浜も合わせて「開港5都市のタータン」ができないか、と考えているんですよ。そんなことができるか、わかりませんが(笑)。
片山 各会員が、こんな商品があったらおもしろいと思っていろいろなものを作り出してきたから、ここまで広がってきたのだと思いますが、今後はブランドの価値を保っていくことが大事ですね。
河合 ぼくらは文房具を通じてではありますが、各メーカーさんにも協力していただいて、引き続き神戸タータンの商品を作っていきたいと思っています。今あるグッズはおかげさまでどこでも売れていますが、次のアクションも起こしていかないと飽きられてしまうかもしれません。
小田 播州織のハンカチは、ハンカチとしては生地が厚く、逆にそれが良いと言われています。生地の厚みや風合の良さが、多くの神戸タータン商品の生地として、今ではご利用頂いています。今度はトランクスを作ろうということも考えていますが(笑)。単価が低い商品はやはり売りやすいですが、おみやげ品というよりは、ものづくりを大切にし、品質にこだわっていくことが重要かもしれません。
植村 もとになる「神戸タータン」のデザインは、石田原会長が創り出し、スコットランド登記所に登録されているしっかりしたものである、ということも大きいです。
片山 今、ものづくりの業界では、若い職人が減ってきています。そのため、ぼくら小売は、物の価値をしっかり伝えて、適正価格で売るということが必要だと考えています。そうすれば職人が手にする工賃も安定して、若い職人が育っていく環境が作れるのではないかと思うんです。神戸タータンにおいても、「神戸」というブランド力のある名前を使って、それに見合ったしっかりした製品を作り、ちゃんとした価格で売っていくことが神戸のブランド価値を高めることにつながると思っています。
植村 紳士服や家具といったオーダーメイド製品から、ノベルティグッズまで、あらゆる商品が神戸タータンに加わってきましたが、この2年間突っ走ってきたため、アイテムが多すぎて目が届かなくなってきている部分もあります。今後はブランディングをきちんとしていくことも大切にしたいと思います。