2016年
8月号
品質にこだわった20~30種類もの野菜を使った八寸盛

シリーズ神戸の匠 第3回  “美しさ”を表現する

カテゴリ:グルメ,

神戸で活躍する気鋭の“匠”と対談するシリーズ。
今回は、神戸で今注目の「料和 大道」の店主・大道慎吾さんの登場。
予約がとれない隠れた名店として話題の料理人と、歯学博士の横手さんとの共通点とは。

「妥協しない」という2人の共通点

横手 大道さんが素晴らしい理由として、高級感がありながらも、良い意味で気さくな雰囲気が感じられる点。料理や器、一つひとつにこだわりがあって、もうお皿の上の芸術。それをまた良いタイミングで出されるんですよね。計算しつくされている。あれは京料理でもなく、何料理というんでしょう。看板には「料和」とありますが。
大道 和食の「和」と、あとは「和む」という意味でつけています。もとは日本料理出身なのですが、「僕が作る料理」というジャンルを目指しているんです。料理は素材がすべてだと思っていますが、いいものを仕入れるところから料理は始まっていて、その素材を殺さずに僕の色をつけていく。100点満点の素材に、10点か20点の自分の色をプラスするといいますか。
横手 具体的に言うと、名物のカツオがありますね。
大道 毎朝、高知から空輸で神戸に運んで、その日のうちにお客様の目の前でわら焼きしてお出ししています。市場から仕入れるものは陸路で来ますから一日余分にかかってしまい、どうしても新鮮さが失われてしまう。以前修行していた日本料理店で新鮮なカツオに出会って感動しまして、そのお店のオーナーから仲買いの方を紹介していただいたんです。
横手 細部に食材にこだわってますよね。あと燻製が美味しいです。お店の中で燻すそうなんですが、上品な香りがしましてね。それから野菜の一皿は、20~30種類の野菜がお皿にのってくる他にはないものなのですが、僕は実はトマトが苦手だったんだけど、大道さんのところのトマトは食べられました。
大道 トマトは農家さんから直接仕入れています。野菜は全国各地の農家から取り寄せているんですよ。
横手 人間、妥協しようと思えばいくらでもできてしまうんです。それは僕のいる歯科の世界でもそうですが、僕は歯科技工士の作った歯でも気に入らなかったらいくらでもやり直しをさせます。クリニックには多数の患者さんが来院されますが、助手にまかせっきりではなく僕が必ず一人ひとりに声をかける。そうすると患者さんも安心できますしね。大道さんもそうなんじゃないかな。彼のお店の予約がなかなかとれないのは、席数を自分が目の届く範囲にとどめているからでしょう。一人で全部やりたいんじゃないですか。
大道 そうですね。自分の目が届くのは、今の店の大きさが限界です。
横手 自分に頑固っていうことは、妥協しないということです。料理を食べに来る、僕の場合は歯が痛い人が来る、みんなに頼られて、それで最後は喜んでもらえるから、しんどいけれども妥協はしないんです。

評価を下すのはお客さん

横手 有名な店になればなるほど期待されるし、批判もされるし、料理人は大変だと思う。彼は今日は私服でゆったりした顔をしているけど、いつもお店で見るときは目が吊り上がってるもの(笑)。
大道 そうですか(笑)。僕は本当に人に恵まれまして、いろいろな人に助けていただいてここまで来ました。
横手 それは大道さんの人徳でしょう。
大道 料理は僕にとっては武器ともいえますけど、その武器をもって、「どうだ」って言うのではなくて、お客様に幸せな空間を感じていただいて帰っていただければと思っています。
横手 同感です。「どうだ俺の料理は美味いだろう」ではなくてね。それは大切なことです。僕も医師の世界で名医になるより、診療させて頂く患者さんにとっての名医になりたいと常に思っており、学会でいくら素晴らしい発表をして称賛されても、患者さんのニーズに応えられなかったら意味がない。料理もそうですよね、良い料理、良い歯という評価を下すのは、我々じゃなくてお客さんであり患者さんの方なんです。しかも、一回目で感動を与えて、二回目に安心を与えてあげないといけない。
大道 そうですね。料理の場合は、二回目に来店いただいたときに一回目を超える感動を与えないといけないんです。それが安心につながります。
横手 料理を食べる方のコンディションによって変わるでしょうし、表情を見て出すことも大事でしょう。本当に良いタイミングで出されるし。
大道 ありがとうございます。
横手 歯科診療でいいますと、やはり「自前の歯」というのは神様が作ったものですから、治療においていかに天然の歯に近づけるかを目標に考えております。それが一番美しい歯だと思います。でもそれも、人工の新しい歯が入ったからといって乱雑に使えばすぐにだめになってしまうし、生活の環境が変化すると、それに伴いメンテナンスも必要になります。神が作った歯でも、人工の歯でもできるだけ長くもたせるためには、予防が一番。歯と口の管理、つまり生活習慣が重要になってきます。
大道 そうですね。これからも身体に良いお料理をお出ししていきたいと思います。

品質にこだわった20~30種類もの野菜を使った八寸盛

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美味しさはもちろん、絶妙のタイミングで料理を出す大道さん

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早朝、高知でとれたカツオを空輸で運び、その日のうちに提供する

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おもてなしホテルとして評価の高い旧居留地オリエンタルホテルにて。オリエンタルホテルドアマン・稲永希望さんと共に

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「一番美しい歯とは、限りなく自然に近いもの」と横手さん。そのためにいっさいの妥協を許さない

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CAD/CAMで作製されたジルコニアオールセラミック。先端技術により天然の歯に匹敵する強度と色調をもつ

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横手さんのクリニックの共有スペースは、ホテルのロビー並みにゆったりしている

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20160807104
神戸市中央区中山手通1-12-3 津田ビル2階
営業 ランチ12:00~14:00/ディナー18:00〜23:00
TEL 078-391-1255
定休日 不定休

20160806801

横手 優介 よこて ゆうすけ

医療法人社団 ヨコテデンタルクリニック歯学博士(神戸市在住)

20160806802

大道 慎吾 だいどう しんご

料和 大道 店主(神戸市在住)

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