12月号
平生釟三郎の思いを胸に! 94年の歴史を誇る甲南高校ラグビー部
Konan High School Rugby Football Club
2019年4月21日に創立100周年を迎える。甲南学園創設者・平生釟三郎は甲南学園を創設しただけでなく、数多くの功績を後世に残したことでも知られている。
明治・大正時代の日本は画一教育により、当時の文明国であったヨーロッパ諸国やアメリカに追いつくために知識を重んじる教育を進める。平生が目指したのは、知識・技能教育に偏することなく、感性や徳性を磨き、人間性を調和的、全面的に発達させる全人教育であった。それは1世紀にもわたり、甲南学園が大切にしてきた精神でもある。
その理由のひとつが、イギリスに行った際に見たパブリックスクールの教育であった。そこでは、スポーツを通して徳育と体育、知育を柱とした教育であった。とくに平生はラグビーを愛した。とりわけ、スポーツの中ではその精神が貫徹していると述べている。つまり、プレー中に反則があれば過失でなくとも容赦なくペナルティーが課せられる。しかも、個人プレーでなく全員が協力しなければ勝つことができない。昭和8年(1933)に、倒産の危機に瀕した川崎造船所(現川崎重工業)社長を引き受け、見事に再建を果たしたことも、その根底にラグビーのフェアプレーの精神があった。
甲南学園創立とほぼ時を同じくして、昭和13年(1924)に設立されたラグビー部。戦前の旧制甲南高校時代には、全国制覇を果たすなど輝かしい歴史を築いた。現在の部員数は25名、他の強豪校と比べると決して多くはないが、鍛えあげられたチームワークで日々練習に励んでいる。今年は渡辺龍主将・田中大世副将の2名が福井国体に出場。そして2年ぶりにユニバー記念競技場のフィールドに立ち、スーパーラグビー「クルセイダーズ」専属スタッフの樫塚安武氏のサポートもあり兵庫県第3位の成績を収めた。悲願の花園出場はならなかったが、その思いは後輩たちに託された。「甲南のラグビーを通して、人として頼られる人間に、人間としての品位を身につけてほしい」と南屋大ラグビー部監督。