2018年
12月号
カーブが続く山道を走ると巨大な遺跡「神子畑選鉱場跡」が姿を現した

メルセデス・ベンツ E 220 d 4MATIC All-Terrainで行く 人間の叡智の結晶をめぐる但馬の旅

カテゴリ:おすすめスポット,

兵庫県北部、日本海に面した但馬の魅力は、かにや但馬牛に代表されるグルメや、城崎や湯村など豊富な温泉だけではない。今回のテーマは「土木と建築」。人間の叡智の結晶でもある建造物は地域性との関わりが深い。地形がけわしい但馬では、山の斜面に巨大な施設を築いたり、行く手を阻む谷を越える橋を架けたりと自然を克服するためにさまざまな工事がおこなわれた。一方で芸術性の高い稀有な建築もある。ちなみに大阪港築港に手腕を発揮し湊川隧道建設にも関わった沖野忠雄、その姪の夫で神戸港の近代化に尽力した森垣亀一郎、日本治水砂防の神様とよばれる赤木正雄、黒部ダムのプロジェクトを推し進めた太田垣士郎など、但馬出身には歴史的な土木人が多い。そう、但馬は土木や建築のメッカでもあるのだ。
今回、メルセデス・ベンツEクラスのステーションワゴン「E 220 d 4MATIC All-Terrain」に乗って、兵庫県北部の険しい山道を越えて、土木・建築の名所を訪ねてみた。

忽然と現れる巨大遺跡

「E 220 d 4MATIC All-Terrain」は、ステーションワゴンでありながら、SUVのエッセンスを取り入れた新ジャンルのEクラスとなっている。Eクラス唯一の4MATIC(四輪駆動)が装備されたディーゼル車で、優れた走行性能に秀で、雪道や悪路でも安定した走行を可能にする。またSUVスタイルのラジエターグリル、19インチアルミホイールが装備され、力強いエクステリアが見る者にインパクトを与える。

では神戸から但馬へ向かおう。まずは姫路へ出て播但道を北上する。安定した高速性能でハイウェイをクルーズするうちに、福崎を過ぎ左右に山が迫ってくる。かつて鉱石を運んだ馬車が行き交った「銀の馬車道」もこの谷を通っていた。
朝来インターで降りて西へ。蛇行した道でも四輪それぞれに最適なトラクションを確保することで、走行安定性を高め、キビキビとした走りを楽しむことができる。
しばらく進むと、左手に古い橋が見えてくる。この神子畑鋳鉄橋は明治16年(1883)に架けられ、現存する鉄の橋としては日本で三番目に古い。架橋当時と同じ場所にあり、かつては生野の精錬所への鉱石輸送の荷車が行き交った。実際に徒歩で渡れば、しばし明治へタイムスリップだ。
さらに西へ行くと、右手に巨大な〝遺跡〟が現れる。神子畑選鉱場跡だ。
ここ神子畑ではかつて鉱石が採れたが衰退、大正中頃からは山向こうの明延鉱山で採掘された鉱石の選鉱の場とった。山の斜面に築かれた選鉱場は不夜城の如く稼働し、規模も産出量も東洋一だったという。
幅110m、長さ170m、75mの高低差に22層のひな壇状の壮大な建築がここで威容を示していたが、残念ながら平成になる直前に明延鉱山の閉山にともない役目を終え、建物も十数年前に撤去された。いまは選鉱場の基礎部分やインクライン(貨物用ケーブルカー)のレールなどが残る。濃縮脱水する巨大なろうと状のプールを支える柱は神殿のような迫力があるが、その下で朽ちる動力機や配電盤は少しもの寂しい。
フランス人技師たちが住んだ洋館「ムーセ旧居」や、明延とここを結んだ明神電車(人は1円で乗れたことから「一円電車」という愛称も)も保存・展示されており興味深い(ムーセ旧居は土日に内部公開もしている)。
いまは静寂の中にあるが、かつては轟音が鳴り響き、多くの人々がここで汗していたに違いない。山間の夢の跡は、そんな時代の流れに何を思うのだろう。

カーブが続く山道を走ると巨大な遺跡「神子畑選鉱場跡」が姿を現した

神子畑鋳鉄橋


かつて不夜城といわれ東洋一の選鉱場でもあった


フランス人技師たちが住んだ洋館「ムーセ旧居」


インクライン(貨物用ケーブルカー)のレールが今も残る

木と森にかけられた魔術

再び播但道へ戻り、北近畿豊岡道で養父へ、さらに国道9号を鳥取方面へ進む。関宮ループ橋の坂も、ハチ北口からの山道では、パワフルなエンジンゆえにアクセルのレスポンスも軽快だ。さらにアップダウンも激しくなり、時折、道幅も狭くなるが、「E 220 d 4MATIC All-Terrain」は、従来のSUVモデルに比べ車幅が狭く、このクラスにしては小回りがきき操縦しやすい。さらにセダンとステーションワゴンをベースにしているが、アイポイントが高い。見通しの良さも快適なドライブに欠かせない。
鉢伏山の北麓、兎和野高原の手前の深閑とした森の中に、目を疑うような斬新なデザインの建築が佇んでいる。巨大な切り株のような造形と、風雨にさらされた無垢材の外壁が紅葉彩る森と一体のようであり、しかし確とした存在感を放つ。その構造は円筒形で、桶のように中央が空洞となっており、その中を貫く歩道からその部分を見下ろすと池の噴水がせせらぎの音を奏で、見上げれば但馬の空が清々しい。歩道の終点には展望台があり、しっとりとした山の景色が心を癒やす。
ここは兵庫県木の殿堂。森林についての文化や世界の民家に関する展示、クラフト体験など盛りだくさんのミュージアムだ。館内はスロープ状に回遊できる動線で、集成材の柱が天に突き出すように伸びている。この空間は太陽の光を受けて成長する森の生命力を表現しているとか。
水と太陽、そして木。ここは但馬の豊かな自然を、建築を通して表現した芸術そのものだ。ところが、この建築を手がけたのは「コンクリートの魔術師」の異名を取る安藤忠雄氏というから驚く。木と森にもマジックを仕掛ける安藤氏の才能には感服するばかりだ。この希有な建築は、但馬でしか味わえない感動をプレゼントしてくれる。

展望台からは但馬の山々を望む


高低差のある険しい山道を上り「木の殿堂」へ


安藤建築のスケールに圧倒される


「木の殿堂」は安藤忠雄氏の作品

稀代の絵師がプロデュース

再び国道9号へ戻り、村岡を過ぎて右へ。鮎で知られる矢田川の清流沿いの道を、ゆるやかなカーブでステアリング捌きを楽しみながら進むと海へ出る。日本海と言えば荒波だが、小さな湾になっている香住の海は比較的おだやか。
そんな香住の街外れに佇む大乗寺は有馬温泉ともゆかりが深い行基により745年に創建された古刹だが、ここの客殿の内部空間は必見だ。なんと美術史に名を残す江戸時代の絵師、円山応挙とその一門が描いた襖絵が多数残り、うち165点が国指定重要文化財となっている。別名「応挙寺」といわれるゆえんだ。
緻密な彫刻が施された山門をくぐり、樹齢1200年の巨大な楠を見上げて客殿へ。現在、応挙の作品のオリジナルは保存され、精密なデジタル複製が据えられているが、それでも往時と変わらぬ厳かな場の雰囲気をそのまま封じ込めたように、空気が凜と張り詰めている。応挙は仏間の十一面観音を中心に客殿全体を立体曼荼羅とし、宗教的な空間をプロデュースしたという。
とにかく美術館を凌ぐ迫力で、それぞれの絵画も芸術性が高い。電灯のない時代、郭子儀図の鮮やかな色彩は眩しく、御仏の光を感じたに違いない。写実的な画風で知られる応挙だが、陰影や遠近を巧みに操るだけでなく、例えば梅花狗子図ではどの角度から観ても視線が合う「八方にらみ」というトリックアート的な技法も。応挙の弟子の絵はオリジナルが展示されており、その筆致のリアルさを間近で鑑賞できる。
なお、応挙の襖絵のオリジナルは年に一度、ゴールデンウィーク頃に展示されるという。深まりゆく秋の景色とは一味違う、新緑の風景を眺めながらのドライブも楽しみたいものだ。
また、積雪の道でも「E 220 d 4MATIC All-Terrain」にスタッドレスタイヤを装備すれば、これほど心強いパートナーはいない。この車のデザインも細部に至るまで芸術性を追求した。画期的なグリルデザインとスポーティなボディ、インテリアもLEDの間接光が美しいアンビエントライトなど、造形の美しさは芸術の域に達している。

車内を彩るLEDの間接光。照明色は64色から選べる

インテリアの細部に至るまで美しさを追求した


白波の向こうに香住港が見える


応挙寺と呼ばれる大乗寺に到着


円山応挙筆「松に孔雀図」再製画


円山応挙筆「郭子儀図」再製画

芭蕉の間

天空で味わう絶景と恐怖

応挙ははじめて足のない幽霊を描いたことで有名だが、「E 220 d 4MATIC All-Terrain」もまた浮いているかのようにスムーズかつ静粛な走りで山陰近畿道を西へ。これは、エアスプリングと電子制御ダンバーの組み合わせにより、極上の乗り心地を実現したエアボディコントロールサスペンションによるもの。余部ICで降りて左折すると見えてくるコンクリートの巨大な橋は、JR山陰本線の余部橋梁だ。この橋梁は平成22年(2010)に切り替えられた2代目だが、何気なく景観と調和した土木建築で評価が高い。
初代の余部橋梁は明治45年(1912)に完成、以降100年ほど日本の動脈を担ってきた。但馬の海沿いは山がそのまま海に落ちるようなリアス式海岸が続く。この険しい地形から、香住~浜坂間は山陰本線建設時、最大の難所だった。特に幅約300mの余部の谷を越えるには迂回して長大なトンネルを掘るか、巨大な橋を架けるかの究極の選択だったが、明治末期の時点ではトンネル掘削技術が未熟だったことや最短距離で結ぶことができたことから、鉄橋を架けることとなった。鉄骨で組んだ11の橋脚の上に橋桁を渡した赤いトレッスル橋は海の青と山の緑に映え、現役時代は鉄道写真の撮影スポットとして全国に知られていた。ちなみに橋脚はアメリカで製造され、目の前の浜まで海路で輸送されたという。
現在もその一部が保存されているが、造形美は変わらない。エレベーターで橋の上の「空の駅」まで行くと、レールも残っている。日本海を眺める絶景のみならず、ガラス張りの足元には恐怖の視界も広がる。
冷たい潮風が頬を刺す。但馬の冬は厳しい。風雪に負けず凜然と聳える旧余部橋梁に、悪路でも堂々と走り抜けるメルセデス・ベンツの魂を重ね合わせた。

JR山陰本線余部橋梁に到着


現在はコンクリート橋に生まれ変わっている

リアス式海岸が美しい余部の町


ドライビングに必要な情報を見やすく分かりやすくカラー表示


広いラゲッジスペースも魅力

メルセデス・ベンツ兵庫県下最大のショウルーム
ヤナセ神戸支店

ヤナセ神戸支店は、エリア内のフラッグシップに位置づけられ、兵庫県下最大のショウルームを誇り、新車から中古車まで幅広いタイプのメルセデス・ベンツがそろう。また、兵庫県下唯一の「AMGパフォーマンスセンター」としての認定を受け、ドライビングパフォーマンスの高い、メルセデス・ベンツを扱う。ぜひ、一度ご来店ください!

株式会社ヤナセ 神戸支店

神戸市東灘区本山南町7-8-26
TEL.078-453-8924
営業 9:30-18:00
休業 月曜日 年末年始

①神子畑選鉱所跡

朝来市佐嚢1826-1
079-677-2111(平日:朝来市あさご観光協会)
079-677-1717(土日祝:神子畑鉱石の道推進協議会)

②兵庫県木の殿堂

美方郡香美町村岡区和池951
0796-96-1388
10:00~16:30(冬期は16:00)
料金 無料
休 月曜日 年末年始

③大乗寺

美方郡香美町香住区森860
0796-36-0602
9:00~16:00(受付15:40まで)
料金 大人/800円 子供/500円(小学生)

④余部鉄橋「空の駅」

美方郡香美町香住区余部
0796-36-3355(香美町観光商工課)
9:00~21:30
料金 無料
休 なし

DATA

メルセデス・ベンツ E 220 d 4MATIC All-Terrain
全長×全幅×全高/4950×1860×1495mm
車両重量/1940㎏ ステアリング/右
エンジン/DOHC 直列4気筒ターボチャージャー付
最高出力/143kW(194 PS)/3800rpm
最大トルク/400N・m(40.8)/1600~2800
価格/861万円(12/1現在)
   ※2019年1月1日より値上げ予定

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