2013年
12月号
12月号
佐藤悦枝 創作50周年記念パリ展「風に吹かれて」
「風に吹かれて、日本の花の種が、パリへ行って咲きました」というテーマのもと開催された、創花人・佐藤悦枝のパリ展(9月26日~10月4日)。マレ地区にある、日本人女性がオーナーのギャラリー・ハヤサキ。重要文化財指定の古い建物のギャラリー内に、佐藤さんのアートフラワーが可憐に咲いた。
初の海外個展とあって、“和”の花を意識して制作したという佐藤さん。控えめで、楚々とした日本人女性のイメージで、小さな野の花たちを作った。
50歳を過ぎてから、ビーズ刺繍を学び始めた、年齢を重ねてもなお探究心を失わない佐藤さん。今回の個展は、佐藤さんが尊敬してやまないパリの職人、ブリュノ・レジュロンさんとの交流から発展した。レジュロンさんは、服飾造花や、ピアジェなどブランドディスプレイの造花などを手がける老舗オートクチュールメゾンの4代目。その技はもちろん、職人魂には深く感服するという。「今回、パリに住む友人や、オートクチュール工房やオペラ座の衣装部で働く若い日本人の職人たちがたくさん見に来てくれた。日本の若い種が世界で活躍しているんだ、ととても嬉しかったです」と佐藤さん。パリの街角で道行く人がふと足を止め、花々に見入る人も多く、何回も訪れる人や、弟子を連れて訪れる職人さんもいて、佐藤さんの花はパリでも人気。期間中は1000人以上が訪れ、ギャラリーオープン以来の来場者数だったという。
佐藤悦枝(さとう えつえ)
18歳のとき婦人帽子「マキシン」でアートフラワーに出会い、木村貴多子に師事。1970年オリジナルフラワー・ミモザグループを結成。1997年パリオートクチュール協会の「パリオートクチュールショー」創作花で参加。神戸市文化活動功労賞、「半どんの会」現代芸術賞受賞。