1月号
木のすまいプロジェクト|平尾工務店|畳編|Vol.5
失われつつある日本伝統の建築文化を未来へ。
連綿と受け継がれてきた匠たちの仕事をご紹介します。
い草の栽培~収穫と泥染め
引き続き畳表の材料となるい草の栽培について、熊本県を例にご紹介していきましょう。
い草は網張り作業で設けられた倒伏防止の網の隙間からぐんぐん伸び、成長に合わせて網の高さを調整していきます。
そして、畑苗の植え付けから1年半の星霜を経て、い草はようやく収穫を迎えます。
収穫、つまり刈り取りのタイミングは、い草が150㎝以上に成長し先端が飴色になる頃で、だいたい本田への植え付けから7か月後の6月中旬から7月下旬にかけての時期ですが、適期は品種によって異なり、例えば早刈栽培の夕凪は6月中~下旬、普通刈栽培のひのみどりは7月上~中旬、晩刈栽培のひのはるかは7月中~下旬です。収穫時期が早すぎると収量が減るだけでなく品質も低下しますので、しっかりと生育状況を確認することが大切です。
収穫作業は涼しい早朝や夕方におこないます。暑い時期ですので、日中に刈り取るとしおれたり蒸れたりするからです。倒伏防止の網を外して、水をかけながらハーベスタという特殊な刈取機で収穫します。
刈り取られたい草は一定の本数ごとに束ねられ、その日のうちに泥染めという工程に。これは、淡路島産などの良質の染土=天然の白色系粘土の泥に浸し、染土の粒子で表面をコーティングする作業で、劣化を防ぎ品質を一定に保つだけでなく、畳の独特の色や香り、光沢や弾力を出すために欠かせません。その後は乾燥機に入れ、温風で半日以上かけてじっくり乾燥させます。
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