2021年
12月号
12月号
神戸のカクシボタン 第九十六回 コーヒーを通して 新しい価値を神戸から創り出す
「ここでしかできない商品を作りたい」。30種にもおよぶ生豆に囲まれながら、そう語るのは『ヨシムラコーヒー株式会社』代表取締役の吉村昌義さん。神戸市葺合区育ち、「珈琲が好きだった母親の影響で子供の頃から飲むようになった」と出会いを振り返る。就職活動の際、「これからは外食産業が流行る…その中心となるのは珈琲だ」と先を見据え市内のメーカーに就職。営業職を介して商売を学び1980年に起業した。
「社会でオンリーワン」を経営理念に掲げ富士山の溶岩石を使用した自家焙煎にこだわる。「本当に美味しくご賞味いただけるのは2週間です」。その鮮度高き味わいは評判を呼び、京阪神の飲食店で愛されている。また安定した味の供給を実現するため、精度の高い日本製マシンを協力会社と開発し全国的に提供している。最近では家庭内消費が高まる「ドリップパックコーヒー」の商品化に力を注ぐ。試行錯誤の末に完成したセパレートタイプのパックは粉とフィルターが分かれて封入されている。そうすることで酸化を防ぎ新鮮な味わいが保持できると言う。
「創業して40年になりますが業界では後発です。千差万別、コアな部分で仕掛けていきたい」と語る吉村さん。背後には真剣な眼差しで寡黙に作業する若き焙煎士の姿があった。
ヨシムラコーヒー株式会社
神戸市東灘区魚崎北町1-8-29
【電】078-451-7081
【営】9時30分~18時(祝日は17時まで)
【休】日曜・夏季・年末/セール期間(毎月末・木曜~日曜)
https://yoshimura-coffee.co.jp/
岡力(おか りき)コラムニスト・放送作家
ふるさとが神戸市垂水区。関西の大衆文化をテーマとした執筆・テレビ、ラジオ番組を企画。連載「のぞき見雑記帳」(大阪日日新聞)「あての履歴書」(大阪スポーツ)