2019年
6月号
6月号
神戸のカクシボタン 第六十六回 駅前商業施設にあるリアル博物館
写真/文 岡 力
日常の街角で郷土の歴史が学べるスポットへご案内。今回は、大型商業施設「レバンテ垂水1番館」の地階サンクン広場にある「垂水日向遺跡展示コーナー」を紹介したい。日々、多くの買い物客が行き交うこの場所で再開発の際、広範囲に渡り遺跡が発見された。ギャラリー形式で観ることができる展示品(弥生土器甕・鉢、飯蛸壺、漁網土錘、流木、樹木葉、地層転写パネル)は1987年から1990年にかけて行われた発掘調査で出土したものである。これらは神戸市教育委員会が考古資料として所蔵・保管されている。
地表面から約5m下に現れた遺跡を紐解く事で今から約8000年前の縄文時代早期、辺りは浅瀬の海だった事がわかる。日々の潮汐で堆積した1~2mmの土を剥がすとそこには縄文人が干潟を歩いた痕跡や細かな縞模様を描くさざ波もしっかり確認できる。他にも約4500年前に大洪水で流れてきた数万点にも及ぶ樹木の一部(イヌガヤ)や緑色を保った樹木葉、約7300年前に鹿児島沖の海底火山が爆発し垂水でも最大約40㎝降り積もったアカホヤ火山灰など有識者により剥ぎとられたスクープの数々が並ぶ。椅子が常設されているので休憩しながらリアルな歴史を体感する事ができる。
■垂水日向遺跡展示コーナー
神戸市垂水区日向1︲4︲1
(レバンテ垂水1番館 地下1階)
サンクン広場 開放時間9:30~18:30
■岡力(おか りき)コラムニスト・放送作家
ふるさとが神戸市垂水区。関西の大衆文化をテーマとした執筆・テレビ、ラジオ番組を企画。連載・レギュラー「のぞき見雑記帳」(大阪日日新聞)「大人の社会見学」(大阪スポーツ)「Oh!二度漬けラジオ」(YES-fm)