8月号
異業種で集まり自己研鑽しながら、社会の役に立とう!
国際ロータリー第2680地区
2016‐2017ガバナー
室津 義定 さん
大学等で長年教べんを執る室津義定さんは、ロータリアンの中では異色の経歴をもつ。第2680地区新ガバナーのこと、ご専門の航空工学のこと、ロータリークラブへの思いなどをお聞きした。
ロータリーで得た異業種交流と自己研鑽
―ロータリークラブ入会のきっかけは。
室津 ゴルフ場で尼崎西ロータリーの先輩から声をかけていただいたのがきっかけでした。正直言って初めは気が進まなかったのですが(笑)。他人を思いやり、役に立つ奉仕活動を通じて社会貢献するロータリークラブの精神を持って、実際の活動を熱心にやっておられる方からの勧めでしたので、私も、尼崎中ロータリークラブ創立会員として参加することにしました。
―その後、ロータリアン歴16年。ご感想は。
室津 私は大学のことしか知らず、ご商売をやっておられる方との交流はほとんどありませんでした。異業種の方との交流で刺激を受け、会員の体験談や他所から講師を招く卓話などを通じて自己研鑽もできたと思っています。大学教授は「了見が狭い」と思われがちですが、幸い私は大学教授には見えないのでしょうか?皆さんと良いお付き合いをさせていただいています。今回のガバナーのお話も、今までの感謝の気持ちで受けさせていただきました。本当はもっと若い方にやっていただいたほうがいいと思うんですがね(笑)。
―室津先生は航空工学がご専門ですが、専攻のきっかけは。
室津 高校在学中に旧ソ連が人工衛星「スプートニクス」の打ち上げに成功しました。日本では戦後初の国産旅客機「YS11」開発の話題もあり、ロケットや宇宙船、飛行機などの勉強ができる航空工学を専攻したいと考えました。
―航空工学の魅力は。
室津 航空・宇宙の分野はあらゆる分野の組み合わせでできています。技術的には最も進んだ分野の勉強ができるのが一番の魅力です。私の時代は日本の航空産業が自立しようとしているときで、主要な産業とは言えませんでした。今でも卒業した学生全員が航空機や宇宙関連事業に携わるほどの規模の産業ではないのですが、自動車・電機メーカー、情報関連企業などに就職し、幅広い分野で社会貢献してくれています。
―多くの教え子たちが活躍しているのですね。
室津 ちょっと自慢ですが、例えば三菱航空機「MRJ」の主任設計者の一人が教え子です。もうひとつの自慢は、読売テレビ主催で毎年開催されている「鳥人間コンテスト」で何度も優勝しているチームの初代顧問は私です。ところが何故か、私が見に行った年は優勝できないんです(笑)。学生たちが創意工夫しながら頑張っている技術レベルの高いチームです。
創立時からのメンバー
尼崎中ロータリーの活動
―所属する尼崎中ロータリーの活動は。
室津 誇りとしている創立以来の活動が、市内の小学生に対する読書指導支援です。各学校の図書館教育の先生方の推薦図書目録作成と配布のお手伝いをしました。その他にも高齢者の皆さんに楽しんで元気になってもらおうと、無料で落語会を開催したり、児童養護施設の子どもたちとボウリングやバーベキュー、うどん作りなどを通して交流する機会を設けています。対人関係がうまく構築できない子どもたちもロータリアンとなら交流できたと喜んでいただいています。
地区全体で協力して海外でも活動しています。例えば、インドの農村で灌漑施設を造り農業支援をするプロジェクトや、昨年はネパールの看護師さんたちを日本に招き研修を実施しました。
―今年度の尼崎中ロータリーの活動は。
室津 尼崎市内にある6つのクラブ合同で市民ハーフマラソン開催と、間寛平さんの講演会を予定しています。「公害の町」としてあまりイメージが良くない尼崎ですが、「文化都市尼崎」をPRしようと「GOVERNORS MONTHLY LETTER」の表紙で、尼崎のスポットを毎月紹介していこうと思っています。第1号は近松公園と近松門左衛門像。尼崎にもなかなかきれいな所があるでしょう!
第2680地区ガバナー
いよいよ本格始動
―いよいよ第2680地区ガバナー年度が始まりました。抱負をお聞かせください。
室津 ロータリーは本部をアメリカに置く世界的な組織です。150以上の国と地域に3万4000以上のクラブがあり120万人以上の会員を有します。国際ロータリー会長によって毎年作られる目標とテーマに沿って、世界各地のクラブが特色を生かしながら活動します。本年度は、ロータリー財団設立100周年にあたり、記念行事がひとつのテーマです。それを中心に組み立てていきたいと思っています。
―ロータリーをできるだけ広く知ってもらうための活動も引き続き進めていくのですか。
室津 ロータリーは世界や地域のために役立つ活動を続けているにもかかわらず、あまり知られていません。「良い活動をしていれば自然と分かってもらえる」という精神が伝統的にあるからです。しかし最近は、ロータリー存続のためにも社会貢献活動をPRしていこうと国際ロータリー会長も提唱しています。これも地区の活動の目標のひとつにしたいと考えています。賛同いただける方を増やすだけでなく、会員自身のやる気と誇りにもつながると思います。
―ロータリーの活動には、その他にどのようなものがありますか。
室津 発展途上国では、きれいな水を供給したり、医療の提供まで、持続可能なかたちで支援するプロジェクトを行っています。成果を上げている活動にポリオ撲滅運動があります。1985年の活動開始当時は発症数約35万人あったものが、2015年にはアフガニスタンとパキスタンで74人まで減少し、撲滅まであと一歩です。
もうひとつの大きな活動は青少年の育成です。若者のボランティア精神を培い、リーダーシップと将来に役立つ力を伸ばすプログラムを実施しています。また日本独自の奉仕活動として、国内で学ぶ外国人留学生約740人に奨学金を授与しています。
―ガバナーとしての活動は始まっているのですか。
室津 ガバナー就任前のノミニー・エレクト2年間の準備期間から研修が始まり、最後はアメリカサンディエゴで1週間の研修を受けました。就任前の6カ月間で、地区内で各プロジェクトのリーダーを務めていただく方に次年度の目標や方針を説明しました。12月までに第2680地区75クラブを訪問し、現状についての意見交換や主要な問題についての説明を行います。後半の大きな行事は来年3月開催の地区大会です。現状報告や意思決定、奉仕意欲と見識を高める講演会の実施などがあります。
―兵庫県は広いので全クラブ訪問は大変ですね。
室津 週4回ペースで回ります。私もいい年ですから大変です(笑)。でも元気で務め、国際ロータリー会長の方針を伝え、それぞれのクラブが特色あるやり方で実行してほしいと思っています。
―本日はありがとうございました。
室津 義定(むろつ よしさだ)
2000年より、尼崎中ロータリークラブ チャーターメンバー。2013-14年度の尼崎グループガバナー補佐を経て、2016年7月より、国際ロータリー第2680地区ガバナーに就任。大阪府立大学・大阪府立工業高等専門学校の名誉教授