5月号
学園都市の歩み 理想的新都市~西区と学園都市
明るく開放感に満ち、田園の清々しさと都会の利便性を兼ね備えた神戸市西区。面積は神戸市全9区の中で北区に次ぐ2番目で、市域の約4分の1を占める。
西区の誕生は昭和57年(1982)。当時の人口は全9区内で最少の約9千400人だったが、その直前に街びらきした西神中央地域をはじめ、ニュータウンの発展により人口が急増、現在は約25万人と全9区中最多で、神戸市の人口の約16%を占めている。また、年齢別の人口構成を見ても、比較的若い世代が多い。つまり、未来へと伸びる元気のある区と言えるだろう。また、農業も盛んなことから、近年では直売所などを通じ近隣で採れたての野菜が食卓に乗る「地産地消」も日常的で、西区ならではの健康的で豊かな食生活にも注目が集まっている。
人口の増加を支えた西神ニュータウンは1980年代にオープンしたが、実はその構想は戦前からあった。衆議院議員や神戸市長などを歴任した政治家、野田文一郎が、柔和な気候と良好な地理的条件に目を付け、満州国の首都、新京の都市計画をイメージして、理想的新都市の計画を提唱した。戦後、工場地帯とともに職住近接の住宅地が建設され、さらに商業エリアや公共施設、教育機関なども集積させて、神戸の新しい副都心としての機能も有する新都市を計画的に建設。現在それが実現し、西神中央エリア、西神南エリア、学園都市エリアという3つの街は自然、産業、文化、レジャー、そして生活が理想的に融合した街として親しまれている。
中でも今年街びらき30周年を迎えた学園都市は文教都市としての色彩が濃く、「住み、働き、学び、憩う」がバランス良く備わっている。もともと昭和60年におこなわれたユニバーシアード神戸大会の選手村として整備され、学園都市駅の駅前広場のユニバードームは、当時表彰式広場として使われていた。その後、大学が誘致されるとともに住宅地も整備され、街並みが整然として美しく、歩車分離など安全にも配慮され、コンパクトで機能的な街に成長。学生など若者が多いため街に活気があるだけでなく、大学と地域の交流や連携が活発で、生涯教育のサポート、地域清掃、子育てや健康づくりの活動などで、さらなる魅力が生まれている。