2月号

城田優が思う、LOVE &PEACE VOL.1
神戸の大学で話したこと
城田優です。俳優、歌手、作詞作曲や舞台演出などの仕事をしています。僕の父は日本人、母はスペイン人です。
初対面の人には、こんなふうに自己紹介をしています。相手が不思議そうな顔をするから。両親がどこの国で生まれたかなんて、ふつうは言わなくていいことですよね。子どもの頃は、そのことでたくさん傷ついて、大人になってからもそう変わらなくて、仕事に就いてからは不利なことがたくさんありました。
7歳までスペインで育ちました。テレビの中の華やかな世界に憧れて、8歳で芸能事務所に入り、17歳の時にミュージカルで俳優デビューしました。現在は、舞台だけでなく映画やドラマ、歌番組などにも出演するようになって、演出も任せてもらうようになりました。一生できないだろうと諦めていた武士の役も、いただくようになりました。
憧れていた世界で生きることができるようになるまで、すごく時間がかかったし、悩むことも落ち込むことも多かった。それは、まわりの人と“ちょっと違う”からです。
多様性という言葉を耳にするようになって、近年、“ちょっと違う”ことが認められるようになってきたとは思うけれど、実際にはまだまだだと思っています。「違うことを認めない」ではなく、「みんなと同じ」の方が安心するということなんじゃないかな。
今、まわりの人とちょっと違うことで悩んでいる若い人がいたら、マイノリティ側だった僕が力になれることがあるかもしれない。そんなことを考えていた2023年、神戸市外国語大学から講演会の依頼を受けました。テーマは、『多様性を考える』。なんというタイミング!!
文化祭に呼んでもらったことはあっても、講演という形で話をするのは初めて。もちろん喜んでお引き受けし、集まってくれた約350人の学生さんを前に、僕の経験や現在考えていることを話しました。この会を企画した学生さんたちと話をする時間を作ってもらい、大学で勉強していることや将来のこと、夢の話ができたのも、いい経験でした。悩みや苦しみが簡単に消えることはないとわかっているけれど、少しでも心が軽くなったり、少しでも前を向こうと思ったり、「あ〜楽しかった」でもいい、少しでも明るい気持ちになっていてくれたらいいな。
タイトルの『LOVE & PEACE』は、僕が大切にしている言葉です。この2つは、性別、年齢、国籍も関係なく、全世界に生きている人みんなが、大切にしなくちゃいけないこと。マジョリティもマイノリティも関係ありません。僕は僕の仕事を通して、そんなことを伝えていきたいと思っています。
次回は、『夢の種~I’ll be by your side』という歌の話を…。
※城田優が思う、『LOVE & PEACE』は、公式HPにて折々掲載予定です。
構成 田中奈都子

神戸市外国語大学にて

『Magical Christmas Night 2024』