2月号
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美しきかな ひょうごの文化財 | 重源上人が遺した鎌倉建築の傑作 |
第二回 浄土寺浄土堂
源平合戦の兵火で壊滅的な被害を受けた東大寺再興のため大勧進(総責任者)となった俊乗房重源上人は、拠点として7つの別所を造った。そのひとつ「播磨別所」に建久3年(1192)、「浄土寺」を創建、「浄土堂」は同8年に完成供養が行われた。宋に3回渡ったといわれる重源上人が手掛けた大陸由来の建築様式「大仏様」の建物で現存するのは東大寺南大門と浄土堂の2例のみ。昭和32年(1957)の解体修理まで約770年間、建立当時の姿で持ちこたえてきた。ご本尊の快慶作「阿弥陀如来及び両脇侍立像」とともに明治34年(1901)、国宝に指定されている。
和様建築で多用された野屋根を採用せず、本瓦葺の屋根は化粧垂木勾配そのままに緩やかで、柱間約6メートルの低い建物だが一歩足を踏み入れるとその外観からは想像できない開放的な空間が広がっている。巨大な円柱に組み込まれ何本も突き出した挿肘木と木鼻をボリュームに富んだ虹梁が結び、中央で化粧垂木に届かんばかりの高さ約5・3メートルの阿弥陀如来像が人々を迎え入れる。
太陽が西に傾き始め、光が背後の蔀戸から差し込むと檜の床に当たって乱反射し、鉋(かんな)で丹念に仕上げ朱に塗られた化粧屋根裏まで届き堂内に降り注ぐ。赤く染まった阿弥陀三尊立像が浮かび上がるとき、西方極楽浄土からのご来迎に遭遇したような幻想的な空気に包まれる。計算し尽された重源上人の傑作は浄土思想の建築的表現の究極であり、日本の建築史においても貴重な遺構だ。
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お堂の中央で人々を迎え入れる巨大な
「阿弥陀如来及び両脇侍立像」
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大仏様の代表的な特徴「挿肘木」が
化粧天井裏まで届く円柱から何本も突き出している
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重源上人によって造られた「浄土堂」は現存する
「大仏様」建築の貴重な遺構
浄土寺
小野市浄谷町2094
歓喜院 TEL.0794-62-4318
宝持院 TEL.0794-62-2651
拝観 9:00~12:00/13:00~17:00(10月~3月は16:00)
拝観料 500円