2月号
ベトナム元気X躍動するアジア 第2回|モンゴルの大平原はベトナムに続く
昨年七月にテレビドラマ『VIVANT』(主演:堺雅人、TBS系)が話題になり、その撮影地のモンゴルが注目されました。筆者は同年四月と九月に首都ウランバートル市と周辺の遊牧民村に宿泊。本来の目的はモンゴル国立大学の訪問、カシミア工場の見学などでしたが、そのモンゴルとベトナムは少なからぬ関係をもっています。
文・ 上田義朗
モンゴルの大平原はベトナムに続く
モンゴル大統領がベトナム訪問
モンゴル帝国(元)は、日本の鎌倉時代の二回の「元寇」と同時期にベトナムに三回の侵略を試みています。日本に対する三回目の侵攻を断念した理由はベトナムでの大敗北と言われています。ホーチミン市内のチャンフンダオ像の目線は今も中国に向かっています。このようにモンゴル・ベトナム・日本は少なからず歴史的な関係をもっています。
近年では、モンゴルは旧ソ連に次ぐ世界で二番目の社会主義国でした。その関係でベトナム戦争時代には、モンゴルから軍馬がベトナムに支援され、戦争終結後にその馬が返還されたという実話も残っています。社会主義の先輩国としてベトナム人がモンゴルに留学していたこともありました。
現在のモンゴルの政治体制は共和制(大統領制と議院内閣制の併用)であり、昨年一一月にフレルスフ大統領が国賓としてベトナムを訪問。今年は両国の外交関係七〇周年を迎えており、両国間の直行便の就航や経済交流の促進が合意されています。
モンゴルの社会経済の状況
モンゴルの概要は表1のようです。人口の約半分が首都ウランバートル市に集中しており、広大な大地の各都市に人々は点在しています。同市内では、韓国系コンビニCUが多店舗展開し、同じく韓国系GS25と「オセロゲーム」の競争関係にあります。またカルフールやEマートなど大型ショッピングセンターも進出。日本からはJICAの「日本センター」が大学内に設置され、人材育成に協力しています。
一人当たり名目GDPは5033ドル(2022年)ですが、ウランバートル市内ではその数倍になるように思われます。なおベトナムは4167ドルです。
観光地としてモンゴルの魅力
モンゴルのお土産の定番はカシミア製品。ウランバートル市内のいくつかのお店を回るだけで1日が過ごせます。ただし移動が大変。通常のタクシーと白タクの区別ができず、英語もなかなか通じない。ホテルで自動車を1日借りてハイヤーとして利用することが望ましいでしょう。現地の友人や知人がいれば、心強いです。
モンゴルはニュージーランドと並んで世界で「最も暗い」国。つまり天体観測の最適地とみなされています。そのために大草原に出てゲル(遊牧民の移動式住居)に宿泊する。これが定番です。昼間は遊牧民の音楽・踊り・相撲・乗馬などイベントも満載です。
モンゴル料理といえば「羊の肉」。モンゴル在住の友人は「肉々しい料理」と呼ぶように多様な肉料理があります。筆者は「塩味のミルク茶」がお勧め。粉末の即席茶もあります。何と言っても新鮮な驚きがあります。
■上田義朗(うえだ よしあき)
流通科学大学教授
日本ベトナム経済交流センター副理事長
外国人雇用適正化推進協会(ASEO)代表理事
合同会社TET代表社員