1月号
ベトナム元気X躍動するアジア 第1回|ベトナム国産EVバスとタクシー
本号から、ベトナムを始めとするアジア諸国の最新動向を紹介・解説します。経済成長を続けるベトナムを始めとするアジア諸国の元気な情報が、今後の日本の進路を考える機会になれば幸甚です。なお表題のX(エックス)には二つの意味を込めました。「未来」と「かけ算」です。
ベトナム国産EVバスとタクシー
ベトナム国産EV製造・販売 ビンファスト社
ベトナム最大の企業集団ビングループ傘下のEV製造・販売会社ビンファスト社は、二〇二三年八月に米国ナスダック市場に上場し、米国でEV生産を開始しました。
同社は一九九八年からガソリン乗用車を国内で生産販売していましたが、現在はEV生産に全面切り替え。ハノイ市内ではEVのバスやタクシーを頻繁に見かけます。またEV充電スタンドの設置も進行中です。現在の蓄電スポットは十五万ヵ所です。
EVバスとタクシーに乗車
昨年十一月にEVバスとタクシーに乗車しました。バス料金は八千ドン(約五〇円)で乗り放題。車内で車掌さんからチケット購入。エアコン付きで快適な乗り心地。EVの静粛性を予想していただけにモーター音が少し気になりました。全長が一〇・五mと一二mの二タイプを北部ハイフォン工場で生産しています。
ビンファスト社を中心に二七〇〇台のタクシーがベトナムを走っています。同社のEVタクシーは、通常よりも料金は少し高いですが、車内がきれいに清掃されており、運転席のモニターはスマートな印象。何よりもターコイズブルーの車体は人目につきます。すでに隣国ラオスでも運行中です。
一般販売のEV乗用車は、バッテリーのリースが可能であり、料金は固定式と走行距離に応じた変動式の選択です。これは販売価格を下げる工夫です。またEVの性能を左右するバッテリーは、スイス市場に上場した中国企業・国軒(ゴション)と合弁でベトナム中部に工場を設立予定。現在の研究開発の責任者はインド人です。
先行するEV市場ベトナム
来る大阪・関西万博のためにEVバスを大阪市は一五〇台EVモーターズジャパンから購入するのですが、すでにベトナムではEVバスが日常に走行中。ベトナム企業の果敢なチャレンジャー・ビンファスト社に注目です。
なお、同社では丸紅との覚書でリサイクルバッテリーなどの利用で協力します。
上田義朗(うえだ よしあき)
流通科学大学教授・日本ベトナム経済交流センター副理事長
外国人雇用適性化推進協会(ASEO)代表理事
合同会社TET代表社員