2023年
4月号
4月号
木のすまいプロジェクト|平尾工務店|畳編|Vol.8
失われつつある日本伝統の建築文化を未来へ。
連綿と受け継がれてきた匠たちの仕事をご紹介します。
畳表張り付け・畳縁付け
畳について紹介してきたこのシリーズもいよいよ最終回、畳表を畳床に張り付け、畳の縁を縫い付けます。畳は畳表、畳床、畳縁の3つのパーツを合わせて仕上げますが、この作業は畳職人の仕事になります。
まずは畳表と畳床を正確に採寸・裁断します。特に畳床は、ずれが生じると敷いたときの隙間や段差の原因になるため慎重に切っていきますが、近年はコンピュータ制御により0.1ミリ単位での調整が可能になっているそうです。
次に、裁断を終えた畳床と畳表を縫い合わせます。専用の機械を使用し、畳床の表面に畳表をかぶせ、たるみがないようにピンとしっかり張り、短辺の畳の端、カマチの部分で縫い付けます。糸は綿や麻のほか、昨今は耐久性にすぐれた合成繊維も用いられます。
長辺の縁の部分には、畳縁を縫い付けていきます。畳縁は畳の端の部分の摩耗を防ぐだけでなく、敷き詰めた際の隙間を締める役割もあります。かつては色や紋様がその建物のステイタスを示していました。素材は麻や絹が高級品とされますが、現在はポリエステルがスタンダードになっています。畳縁の縫い付けも機械化が進んでいますが、長く太い針で手縫いする畳店もあり、正確無比な縫い目は職人の腕の見せどころです。
畳の角をしっかりと処理する角綴じをおこなった後は、裏側から畳床と畳縁を縫い付けて固定する返し縫いをおこない、最後に畳表を磨いて、ようやく畳が完成します。
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