4月号
木のすまいプロジェクト|平尾工務店|瓦編|Vol.3
失われつつある日本伝統の建築文化を未来へ。
連綿と受け継がれてきた匠たちの仕事をご紹介します。
成形
今回も瓦づくりについて、平尾工務店が使用している三州瓦を例にご紹介します。
屋根全体を覆うための桟瓦など、均質かつ大量の生産が求められる製品の成形工程は完全にオートメーション化されています。真空土練機で練られた粘土は板状に押し出されて切断機へ送られ、規定の大きさでカット。この状態を荒地といいます。荒地は高圧でプレスされ、瓦の形が出来上がりますが、この工程で使用される成形機の金型は、圧がかかった時の粘土の伸び方を計算して設計されてい
ます。
軒先に使う軒瓦や、左右の端に使う袖瓦など、特殊な部分に使用する瓦を役瓦といいます。役瓦は桟瓦に比べて生産量が少なく、形も複雑なので、成形は職人の手作業。荒地、またはそれを型でプレスして大まかな形にした粘土を、熟練の職人がナイフのようなへらを操って絶妙な形や厚さに仕上げます。役瓦の中でも特殊な製品や特注品は、完全な手仕事で成形します。粘土を盛ったり、削ったり、貼り合わせたりして、繊細な形にも対応。匠の技が光ります。
乾燥も大切な作業。特に役瓦は形が複雑で乾きムラが生じやすいとか。また、乾燥時に反りや曲がりが発生しますが、その度合いも季節や土の採取地によって微妙に違います。それをあらかじめ念頭に置き、焼成時に戻ることを想定してねじれや曲げをつくっておきますが、この工程をタメシといいます。
粘土は乾燥や焼成により縮むので、その分を考慮し成形時のサイズは実際の製品よりも一回りほど大きくなっています。
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