3月号
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神戸のカクシボタン 第九十九回 六甲山から尼崎へ出張アート
昨秋、12回目となる『六甲ミーツ・アート芸術散歩』が開催され無事に終了した。六甲山の自然を体感しながら、現代アートに触れることができる本企画はコロナ禍で苦しむ人々に束の間の癒しを提供した。そして今春、そのコンセプトを基に画期的な祭典が計画されている。『あまがさきアート・ストロール~Produced By 六甲ミーツ・アート芸術散歩~』のテーマは「街」。これまでとは対照的なロケーションで多くの作家がエントリーしている。
今回、貴布禰神社に出展する君平さんは2016年からプロジェクトに参加。過去には阿蘇山から種を譲り受けたという六甲高山植物園に咲く『ヒゴタイ』をモチーフに作品を発表。被災した「神戸」と「熊本」の地に思いを馳せた。「今回は街中での展示になります。そこでの暮らしに興味や関心が広がればと思っています。会期中は作品だけでなく立派な『だんじり』も展示されます。あわせてご覧ください」。また現在、成安造形大学の准教授として後進の育成にあたっており「誰もが表現者になれる時代。自身の作品を制作・発表しながら社会と向き合う準備をしてほしいです」と若きアーティストにエールを送った。空間を変幻自在に彩る感性が集結し新たな「尼崎」が生まれようとしている。
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撮影:高嶋清俊 提供:六甲山観光株式会社
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美術作家の君平さん
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アトリエでの制作風景
■あまがさきアート・ストロール
~Produced By 六甲ミーツ・ アート芸術散歩~
3月19日(土)~27日(日)
場所:阪神尼崎駅周辺
※会場、営業時間は変更の可能性あり
公式HP https://kansai-tourism-amagasaki.jp/artstroll2022/
■岡力(おか りき)
コラムニスト・放送作家
ふるさとが神戸市垂水区。関西の大衆文化をテーマとした執筆・テレビ、ラジオ番組を企画。連載「のぞき見雑記帳」(大阪日日新聞)「球友再会」(月刊神戸っ子)