3月号
メタバースって知っていますか? METAVERSE
フェイスブック社がメタ社に社名変更してまで取り組むとか、大手企業がメタバース関連商品の開発に巨費を投じているとか、ニュースでよく耳にする「メタバース」。なんとなく、わかっている気でいるけど、ホントはよく分からないという人、いますよね。実際にメタバース上で人気イベントを開催しているVR mate CEO大澤誠さんに話を伺いました。
ー「メタバースって何?」って聞かれませんか?
テレビや雑誌で特集されるようになってから、よく聞かれます。VR、日本語だと「仮想現実」と訳しますが、CGなどを活用して仮想の現実を作り出す技術があります。メタバースは、VRを使った仮想的な空間、ワールドともいいますが、技術の進歩とともに今後どう利用されていくか注目されています。
ー大澤さんはこの業界にずっといる人ですか?
ホームページやSNSを活用したイベント企画などのコンサルティング業務を手掛けていました。同業者も増え、新しいことを考えていたところにビジネスパートナーから「これからはVR」と言われたのが1年半ほど前。試行錯誤しているところです。
ーどんなことをされているのですか?
メタバースの世界は、何をするのかを考える人がいて成り立ちます。私はVRイベンターと名乗って活動しています。最初の本格的な取り組みは、日本将棋連盟との将棋普及イベントでした。舞台上のスクリーンに将棋盤を映し出し、プロ棋士が壇上で将棋の解説や詰め将棋クイズなどを行う。実際によくあるイベントをVR空間で開催しました。
今は、トーナメント式に競い合う歌のコンテストイベント『VRうたコン』を開催しています。歌い手さんがステージの上に立ち、観客が応援する。ライブ会場と同じですね。阪神・淡路大震災の追悼イベントも開きました。スクリーンにあの日の写真を映し出し、追悼の歌を歌う。27年前のことはメタバース空間の若い人は知りません。海外からも反響があり、VR上でも風化をさせない取り組みができると確信しました。
ーリアルと同じことがメタバース空間でもできると。
そうです。アバターと呼ばれる自分の分身をメタバース空間に作ります。PC画面で見ればゲームみたいですが、ゴーグル型の機器を装着しアバター目線になれば現実に近い感覚で、まちなかやイベント会場、会議室にいるような気になれます。加えて、現実世界なら警備やソーシャルディスタンスで話しかけられない人とも、気軽に交流しやすいのが特徴です。コロナ禍で学校の授業や大学の入学式がメタバース上で開催されるなど、ZOOMから移行する人が急速に増えています。着替えなくてもいいし、背景も気にしなくていいので楽です。
ーイベンターでなければ、イベントは開けないのですか?
だれにでも開催できる自由さがメタバースのいいところです。会場にあたる空間は、基本無料で使えます。凝った内容や現実にある店舗と同じものを作りたいなら、クリエイターに依頼するか勉強して作れば可能です。イベントそのものは、思いついた時にすぐ開催できます。
例えば駅前で路上ライブをはじめるように。ただ、集客や収益を得るにはSNSでの告知や目を引く手段など、あらゆる戦略が必要です。これも現実世界と変わりません。イベントだけでは無く、会議室やオフィスとしても利用でき、海外ではカウンセリングも行われています。病院の無機質な部屋に行くことなくVRが見せる大自然の中で、匿名性も守られ抵抗なく話せる。結果として、断薬につながっていると聞きました。
ー今後については、どう感じていますか?
今は楽しむための利用者ばかりですが、犯罪に利用されないか心配です。海外では、投資詐欺もありましたし、SNS同様に悪いことに使う人が出てくるでしょう。ただ、YouTubeやSNSよりコミュニケーションがとれるので孤独感の解消につながるかもしれません。若い世代は、ゲームなどを通してVRに抵抗がありません。大人は、性別も国も関係なく自分を自由に表現できる世界への理解が必要になると感じています。
ー国境も越えた新しい世界が広がっていくのかと思うと、夢がありますね。
meta=超越、universe=宇宙、ですから。
MOKUBA’S TAVERNにて
大澤 誠
1987年3月10日神戸生まれ。
VR mate代表/VRイベンター
メタバース上でクリエイティブな企画を行い新しいエンタメを提供。VRでこれまでのライフスタイルや働き方のコミュニケーションを変える社会実装に取り組む。
https://twitter.com/yagami_mac