11月号
神戸からはじまる つめかえパック リサイクル 神戸プラスチックネクスト
2021年10月1日から「神戸プラスチックネクスト 〜みんなでつなげよう。つめかえパックリサイクル〜」が始動。地球温暖化や海洋プラスチック問題など環境問題が毎日のように取り沙汰される今、神戸市が全国に先駆け、つめかえパックのリサイクルに取り組みます。神戸市環境局福本局長に本事業について伺いました。
「神戸プラスチックネクスト 〜みんなでつなげよう。つめかえパックリサイクル〜」とは、どのような事業ですか?
洗剤やシャンプーなどの使用済みの日用品つめかえパックを店頭で回収し、再びつめかえパックとしての再生を目指すプロジェクトです。2022年4月から施行される「プラスチック資源循環促進法」を前に、製造から販売・回収・再生までに関わる多くの企業が“競合”の垣根を越えて“協業”し「水平リサイクル(使用済み製品を同じ製品に再生すること)」をめざす挑戦的な取り組みになります。
一番の目的は、環境問題の解決策を「見える化」することです。海洋プラスチック問題は話が大きすぎて知っていても「ポイ捨てしなければいいだろう」などと考えがちで、実際に何をすればいいのか、効果がわかりにくいのが現状です。プラスチック資源のリサイクルで、消費者に見えるのは、お店で売っている製品を、買って使って捨てるまでです。そこから、どこに集めてどう処理してリサイクルされたのか、それが市民のみなさまに見えるようになっていませんでしたので、解決策を具体的に提示できるようにすることに大きな意味があると思っています。
今回の取り組みのきっかけを教えてください。
市民の皆様はもちろん、製造・小売・リサイクルに関わる人たちが、海洋プラスチック問題に対して何かしたいとそれぞれで思っていたところを、神戸市が動くことでつなげられたと思っています。
神戸には、市民の皆さんと創り上げたすごい文化があります。50年ほど前に制定された「神戸市民のくらしを守る条例」に、過大包装の禁止や包装に係る資源の節約、環境に配慮した処理が可能な包装の使用について日本で初めて盛り込みました。「少しでももったいないことをやめよう」と市民の問題意識が生んだ条例です。今回、企業の枠を越えた取り組みができたのも、神戸の先進的な文化があってこそだと思っています。
これまでのプラスチックリサイクルと何が違うのですか?
プラスチックといっても種類がたくさんあります。金属に金や銅、鉄、熱に強い弱い、錆びる錆びないなどと同じように、プラスチックにも用途に応じた、たくさんの種類があります。これらを一緒に集めることが、再資源化を複雑にしています。
再資源化が進んでいるのは、ペットボトル。ポリエチレンテレフタレート (PET)という1種類で作られています。誕生が遅かったこともあり、世界中の事業者がリサイクルできるよう商品設計された優等生です。
一方、つめかえパックは、耐光性、防湿性など各メーカーのノウハウが蓄積されており、さまざまな材質が使われています。それだけにマテリアルリサイクル(再生利用)が難しいと言われていました。このプロジェクトでは、使用済みつめかえパックから、つめかえパックを作る水平リサイクルに挑戦します。さらに、つめかえパックリサイクルは、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進に大きく貢献すると思っています。ボトルの製品とつめかえパックでは、プラスチックの使用量が全然違います。つめかえパックを使うことは“リデュース(資源の削減)”になります。ボトルは繰り返し使えるので“リユース(再利用)”。そして今回のつめかえパック再生が“水平リサイクル(同じ製品に戻すリサイクル)”です。今、大量生産、大量消費、大量廃棄の使い捨て文化が隅々に広がり、1回使うためだけに資源やお金が使われています。つめかえパックを使い回収ボックスに入れるだけで3Rが達成できる。市民の誰もが参加できる取り組みなのです。
神戸市環境局が運営している公式スマホアプリ「イイことぐるぐる」にポイントが付与される仕組みになっています。使用済みつめかえパックの回収をお願いするだけでは申し訳ないので、少しですが「ありがとう」の気持ちです。
「イイことぐるぐる」は、マイボトル利用やアイカサ(傘のシェアリングサービス)、フードドライブ(余った食品を必要とする人に寄贈する活動)など、環境にやさしい行動を実践するとアプリ内にポイントが貯まります。貯まったポイントは、PiTaPaポイントやWAONポイントなど、120種類以上の電子ポイントに交換できます。アンケートやクイズに答えるだけでもポイントが貯まるので、ぜひこの機会に利用してもらえれば嬉しいです。