2021年
11月号
11月号
⊘ 物語が始まる ⊘THE STORY BEGINS – vol.13 シンガー・ソングライター 岸田 敏志さん
新作の小説や映画に新譜…。これら創作物が、漫然とこの世に生まれることはない。いずれも創作者たちが大切に温め蓄えてきたアイデアや知識を駆使し、紡ぎ出された想像力の結晶だ。「新たな物語が始まる瞬間を見てみたい」。そんな好奇心の赴くままに創作秘話を聞きにゆこう。第13回はシンガー・ソングライター、岸田敏志さん。
今だからできること…音楽の力を信じて
デビュー45年
「立ち止まっていては何も始まらない…。とにかく前へ進もう。これまで、ずっと応援してくれた、全国にいるファンの方たちへ、感謝の思いを込めて」
こう決意を固め、岸田さんは今年9月始めから10月にかけて日本各地を訪れるコンサート・ツアーを敢行した。
タイトルは「僕はここから歩き出す」。
今年2021年は、デビュー45周年の年。これを記念した〝特別なツアー〟でもあった。
コロナ禍、音楽業界は深刻な打撃を受けている。ほとんどのミュージシャンは大観衆を前にした演奏が行えず、軒並み公演延期や中止に追い込まれてきた。
「僕も一年半我慢してきましたが、コロナ禍はしばらく収まりそうにないことも分かってきました。こんな時代だからこそ、歌を待っている全国の人たちを歌で元気づけることはできないだろうか? 感染対策を十分とってなら、行えるはず。とにかくやってみよう…」
そして9月12日、東京からツアーはスタートした。岸田さんの45年目の挑戦が始まった。
(戸津井康之)
岸田 敏志(キシダ サトシ)
1953年岡山県生まれ。シンガーソングライターとして『黄昏』『きみの朝』『重いつばさ』などの代表作を残す一方で、役者としてもドラマ『1年B組新八先生』『渡る世間は鬼ばかり』に出演、またミュージカル『ミス・サイゴン』 『屋根の上のヴァイオリン弾き』など数々のステージを踏むなどの幅広い分野で岸田敏志の世界を確立しようとしている。