2021年
9月号
9月号
木のすまいプロジェクト|平尾工務店|木材編|Vol.3 植林
失われつつある日本伝統の建築文化を未来へ。
連綿と受け継がれてきた匠たちの仕事をご紹介します。
植林
今回も平尾工務店が構造材に使用している紀州材を例に、地ごしらえ→植林→下刈り→除伐→間伐→伐採という流れの林業の仕事をご紹介しましょう。
植林は地ごしらえした土地に苗木を植えておこないますが、苗木の生産もまた林業の重要な仕事です。農業では「苗半作」ということわざがあり、作柄の半分は苗づくりにかかっていると言われていますが、それは林業も同じことです。
基本的に苗は畑のような苗床で種子から育てます。野菜と違ってスギやヒノキは芽が出にくく、発芽まで数週間ほど必要です。播種の約1年後に植え替えて株間を広くし、さらに1年間、都合2年間かけじっくりと育苗し背丈40cmくらいまで成長させますが、この間、灌水、施肥、日よけ、病害虫防除などさまざまな管理作業があります。
育った苗木は山へ運び、一本一本、相性の良い場所を選んでていねいに植え付けていきます。それぞれの樹種に適した場所に植えることが大切で、それを間違えると木は正常に育ちません。しかし、これを見極め、数十年後の森の状態を見通すことは簡単ではなく、職人の豊かな経験と勘が頼りです。
温暖な紀州では、桜の咲く頃から植林の適期を迎えます。3~5月は苗木の根が活動を開始する時期で、そのタイミングがベストなのです。ちなみに雪の多い地方では、10~11月に秋植えをおこなうそうです。
植林後、梅雨明けから9月頃までは、生い茂る雑草に苗木の生育が妨げられないよう、こまめに草刈りをおこないます。
自然素材リノベーション │ 神戸ギャラリー
Webサイト:マンション・リノベーション(神戸ギャラリー)|株式会社平尾工務店