5月号
銀水荘 兆楽が客室をリニューアル
心地良い空間で絶景を独り占め
コロナ禍による緊急事態宣言で、全国の観光地では休業を余儀なくされた旅館が多い。
有馬温泉「銀水荘 兆楽」では、休業期間を利用して館内の改装工事を行っていたが、この4月にほぼ完了。昨年4~7月には、建物外壁や1、2階のロビー、大浴場といったパブリックスペースを、そして今春には東館5、6階の客室改装、東館4~6階の廊下部分がリニューアルを果たした。
ドアを開けると左官職人が腕を振るった地層壁がダイナミックに。上がりかまちの先から畳敷きで、素足で心地良く過ごせる。和室は数寄屋の風情や茶室風の勾配天井など日本の伝統を守りつつ、モダンな意匠を随所に織り込んで、明るくホッとするような佇まいに。立ち座りしやすい低座椅子にやや高めの座卓をあわせ、居心地が良いだけでなく食事もしやすそうだ。
そして何より、広縁からの眺望。温泉街の喧噪を離れた小高い丘という絶好のロケーションを生かすべく、センターに大窓を配し、六甲山の四季折々の表情がまるで一幅の風景画のごとく、客室から有馬を一望するこの絶景を堪能できる。
部屋それぞれに個性があるが、いずれも建具や柱は白木の無垢材、壁は珪藻土と自然素材を用い健康的。トイレにはシャワートイレ、洗面にはワンハンドルレバー水栓など水廻りも最新の機能。世代を問わず好まれそうなアメニティで、一夜とは言わず2晩3晩と連泊したくなるような部屋ばかり。
「兆楽」では、密を避けて自慢のお料理を部屋食で提供、貸切風呂で金泉・銀泉を楽しめることも嬉しい。
有馬で唯一、金銀の泉源を敷地内に持つ宿でもある「兆楽」は、昭和3年の創業。当時は鈴木商店を一大総合商社に育て上げた〝財界のナポレオン〟金子直吉も愛顧したという。令和を迎えたいま、7年後に迎える創業100年に向け、當谷正幸社長の令息で4代目となる當谷有平さんを中心に東館の建て替えなど次の時代を見据えたプロジェクトが動き出しており、今後がますます楽しみだ。
さらに「兆楽」に加えて、露天風呂付客室で金泉・銀泉を堪能できる離れの「紫貴」、和フレンチを提供する姉妹館「SPA TERRACE 紫翠」もあり、幅広いニーズに応えてもらえる。
「兆楽」はもちろん、有馬温泉では感染防止対策を実施している。コロナ疲れを癒やすには、近場の有馬がうってつけではないだろうか。
銀水荘 兆楽
露天風呂付別邸 紫貴
SPA TERRACE 紫翠
神戸市北区有馬町1654-1
TEL:078-904-0666(代)
https://choraku.com/