2月号
神戸のカクシボタン 第八十六回 あの懐かしい味に出会える 中華料理店「淑」
写真/文 岡 力
「一昨年、母が亡くなりました。あの場所は両親の店だったので気持ちが続かなくなり閉店しました。ただ…このままではダメになると思い、父と二人で新たなお店を始める事にしました」。そう語るのは昨年の夏に中華料理店「淑」を開業した安元愛華さん。以前は元町中華街で30年続いた「花隈劉家荘」を経営していた。
「次、何をしようか…」コロナ禍で模索する日々が続いた。そんな中、常連客からの声がきっかけで再スタートを決心する。JR摩耶駅から徒歩すぐの場所に位置する閑静な住宅街で新たな挑戦。調理を担当するお父様と話し合った結果、メニューを絞り込みランチタイムのみの営業にした。カフェのようなスタイリッシュな外観。カウンター席の間隔を充分に確保しベビーカーで来店する主婦にも配慮されている。
麺類、ミニ焼き飯、餃子のセットがお決まりのパターン。この日、注文した「酸辣麺」は四川風に味付けされており女性にも大人気の逸品である。どの麺にも合う「焼き飯」で再会の喜びを噛みしめる。あっさりヘルシーな「水餃子」も健在だ。最近はその餃子の通販にも力を入れており、懐かしい神戸の味が日本全国で堪能できる。
「店名は母の名前に由来します。今は継続してこのスタイルを守っていきたいです」と語る安元さん。以前と変わらぬ優しい味付けでお客に寄り添い、家族への思いを紡いでいく。
■淑
神戸市灘区泉通5-3-14
【電】078-414-7348
【営】11時30分~14時30分 【休】水曜・日曜
【HP】https://www.shuku.jp/ 【Instagram】@shuku0309
■岡力(おか りき)コラムニスト・放送作家
ふるさとが神戸市垂水区。関西の大衆文化をテーマとした執筆・テレビ、ラジオ番組を企画。連載「合間日和」(神戸市消防局監修・雪)「のぞき見雑記帳」(大阪日日新聞)「あての履歴書」(大阪スポーツ)