2020年
9月号
9月号
⊘ 物語が始まる ⊘ THE STORY BEGINS – vol.1 小説家 河野 裕さん
新作の小説や映画に新譜…。これら創作物が、漫然とこの世に生まれることはない。いずれも作者が大切に温め蓄えてきたアイデアや知識を駆使し、紡ぎ出された想像力の結晶だ。「新たな物語が始まる瞬間を見てみたい」。そんな好奇心の赴くままに、作者に創作秘話を聞きにゆこう。第1回は小説家、河野裕さん。
なぜ書くのか?
正解はあるはず…100年残る小説を書きたい
アイデアの着想は喫茶店から
アニメ化、実写映画化もされた小説「サクラダリセット」シリーズなどベストセラーを繰り出す気鋭の作家、河野さんの新作のタイトルは「昨日星を探した言い訳」。難解で哲学的な題名だが?
「実はこの題名に決まるまで、50個以上の候補があったんですよ」と明かし、第1部のタイトル「すべての愛はたったひとつの言葉を忘れるための過程だ。」が、最後まで争ったタイトル候補の一つだと教えてくれた。
新作の舞台は、中高一貫の全寮制私立校「制道院学園」。主人公は同校に通う坂口孝文。中学2年の進級時、有名映画監督の養女、茅森良子が転校生としてやって来る…。
難解な題名に暗示されているように、中学、高校、そして大人へと成長していく過程で、悩み葛藤する2人の〝長い青春時代〟が綴られていく。
河野裕 『昨日星を探した言い訳』
発行:KADOKAWA 1,650円
「脚本がみつかったら、君に告白しようと思ってる」緑の瞳を持ち総理大臣を目指す少女は、あらゆることに公平な態度でありたい少年と出会い、二人は同じ星を探し始める。
プロフィール
河野裕(こうのゆたか)
1984年徳島生まれ。大阪芸術大学卒業。明石市在住。2009年『サクラダリセットCAT,GHOST and REVOLUTION SUNDAY』でデビュー。2015年『いなくなれ、群青』で大学読書人大賞を受賞