2月号
年齢をポジティブに楽しんで、ナチュラルに生きよう|美しい街で美しく
美容師として追及してきた美しさとリラクゼーション、そして健康。この三つを叶えるヘッドスパを美容界の常識にしたいと話す山﨑達也さん。芦屋「BOLANGE(ボランジェ)」で確かな手応えをつかみ、日本中、そして世界へと広める活動を始めています。
―美容師としてお仕事されていた山﨑さんが、いつ、なぜ、「BOLANGE」オープンに至ったのですか。
「誰もやっていないことで一番になろう」。自分が最も好きで最も楽しいと思えることで、お客さまに喜んでもらえることを考えたとき、ヘッドスパだと気づきました。そしてある時、「これだ!」という技術が自分の中に浮かんできたのです。ヘッドスパの可能性に賭けて、勤めていた美容室を辞め、「BOLANGE」を開きました。まだヘッドスパを専門にしている男性美容師はいなかった5年前、大きな決断でしたが、それが良かったと思っています。
―ヘッドスパとは?
元々は頭を癒すというインドのアーユルベーダを源流として、スリランカ、バリへと伝わり、日本でメーカーさんや美容師たちの手でブラッシュアップされ、ヘッドスパと呼ばれるようになりました。ですからメイド・イン・ジャパン。でも僕自身の中では、もっとロジカルにできるのではないか?という思いがありました。
―そこから山﨑さん独自のヘッドスパが生まれたのですね。
皆さんは、毛穴を綺麗にして髪の毛を綺麗にして、ちょっと贅沢な気分になるものと思っておられるでしょうね。その先にできることは何か?まず、図鑑を広げ「頭の筋肉はこうなっているのか!」というところから勉強しながら(笑)、美容師としての経験を生かしながら、試行錯誤。誰かに教えてもらえるジャンルではなかったので、お客様からの意見も頂きながら、幸いお客様に各分野のお医者様も多く、考え方を確認しながら、美容、リラクゼーション、そして健康、この三つを一気に叶えることができるスペシャルなトリートメントに至りました。
―実際にどういうトリートメントを作り出されたのですか。
身体の筋肉をトレーニングで鍛えるのと同じように、頭の筋肉にアプローチしていこうという施術です。筋肉は肌を持ち上げていますから硬くなると、周りの血管を圧迫し血流を悪くしたりします。すると、ターンオーバーが遅れたり、たるみの原因になったり、筋肉による目のピントの調節機能が損なわれることもあるほどです。現代社会のストレスやこの時季の寒暖差によって、特に後頭部の筋肉が硬くなっています。血流が悪くなると血中酸素の流れも悪くなり、あくびが出たり、集中力が無くなったりします。朝起きても「なんだか眠たいなあ」と感じることがありますね。身体の中を十分に酸素が循環していないからです。周りの筋肉を動かしてやることで、三つの効果が期待できます。
―頭の筋肉は柔らかくできるものなのですか。
できます、ぐにゃぐにゃに(笑)。頭皮を柔らかくするといわれていますが、実は頭の筋肉を緩めることで頭皮も一緒に緩んできます。頭の筋肉だけでなく、首、肩、デコルテから始め、フェイスライン、可能であればお顔の筋肉を緩めていくことで、肩から上の血流とそれに伴ってリンパの流れを促していきます。凝っている感覚すらないけれどヘッドスパで筋肉が緩むと「凝っていたんだ」と気づき、血色が良くなる、たるみが解消される、お顔が小さくなるなどの効果を実感していただいています。
―お話ししながら、悩みをお聞きしながらですか。
もちろんそれもありますが、まず五感を使ってお客さまが今どういう状態なのか、どうしたいと思っておられるのかを感じ取ることが大切です。お客さま一人一人の状態は、指先の感覚でほぼ確実に把握できます。疲れているな、ここに痒みがあるな、痛みがあるな、心地よく感じていただいている等々、微妙な感覚です。
―もはやヘッドスパの域を越えたトリートメントですね。
お客さまにも、新たな名前を付けたらいいんじゃないかと言っていただきます。でもこのトリートメントを美容業界でヘッドスパの基本としてもらうことが大切だと思っています。
―そのために全国で講習会を実施されているのですね。
昨年は北海道から沖縄まで全国80カ所ほどで講習会を開きました。美容メーカーさんにも注目いただき、しっかりした検証の下で認めていただき、今回はシャンプーを監修させていただきました。
―芦屋でオープンし、芦屋を拠点にしておられる訳は。
僕が思う「いいお客さま」の定義は「美意識の高いお客さま」。自分の何に投資すれば美しくなれるのか、リラックスできる日常を送れるのか、ハイパフォーマンスなビジネスができるのかを考える、そういった方が芦屋にはたくさんおられます。正直、オープン当初は「本当に?」と思われていたようですが、信頼して通っていただいているお客さまは圧倒的にナチュラルな方が多いですね。アンチエイジングという言葉は将来きっと無くなります。今の自分の年齢を〝アンチ〟否定するのではなく、もっと楽しむ〝ポジティブエイジング〟を提唱しています。30代、40代、50代…それぞれの年代のベストを尽くせば、その年代に相応しい美しさが生まれます。好きな服を着て好きなメイクをして素敵に生きているニューヨークのおばあちゃんのように。そんな人が芦屋だけでなく神戸、阪神間、そして日本中、世界にどんどん増えてきたらいいなと思っています。
―今後の新たな挑戦は。
アメリカでヘッドスパを広めていきたいという思いがあり、昨年はニューヨークでも講習会を開きました。日本人のきめ細かい心遣いと器用さがあるからこそできる技術は今後、日系の美容師さんたちの大きな武器になります。今年もニューヨークとロサンゼルスで講習会を開催予定で、今後も年2回程度のペースで続けたいと思っています。
―ナチュラルな美しさを神戸・阪神間から発信してください!楽しみにしています。
ヘッドスパアーティスト
山﨑 達也さん
1983年兵庫県西宮市生まれ。ヘッドスパの可能性に魅せられヘアスタイリストからヘッドスパアーティストへ転身。その後エクゼクティブ・ヘッドスパサロンBOLANGEをオープン。結果をお約束する技術でサロンワークを中心に女優・モデル・美容家から支持をうける。他にも大手美容メーカーの商品開発や日本 アメリカ 香港など国内外でも技術指導講習会など積極的に携わっている