芳潤な「飲むシンフォニー」選り抜きのワインをあなたに

2013年
8月号

芳潤な「飲むシンフォニー」選り抜きのワインをあなたに

ワインショップ　Impromptu（アンプロンプチュ）

口当たり。舌触り。味わい。香り。そして余韻…。良いワインは、それらが交響曲のように調和している。
阪急六甲にほど近いところに、小粋なワインショップを見つけた。トリコロールはそよ風に靡いているが、窓には分厚いカーテンが。気になって覗いてみると、おだやかな店主の磯崎良一さんが迎えてくれた。「カーテンですか？すいません、日光を遮り温度を保たないと品質が…」と、ワインを我が子のように大切に扱っている。
フランスを中心にイタリア、スペイン、ドイツ、カリフォルニア、そしてレアなオーストリア産と、３００種以上のワインが揃う専門店。手頃な価格のワインも多い。特にブルゴーニュワインのセレクトは秀逸。和食にも良く合うなめらかさが魅力だとか。フランスから生産者が店に訪ねてくることもあるそうで、「握手するとその手が逞しいのです。日々の仕事が伺えます」という言葉に、信頼という価値がボトルにしっかりと詰まっていると感じる。
磯崎さんはもともとプロのホルン奏者で、楽団に所属していたある時にフランスへ音楽留学するが、その時に出会った一杯のロゼワインに心を奪われたことが契機となりワインの道へ。研鑽を重ねてワインエキスパートの資格を得て専門店で修行した後、２年前にこの店をオープン。今やすっかり地元に根付き、常連さんには近隣の住民や神大の教授、六甲で途中下車して買いに来る人もいるとか。通販では東京からも注文が舞い込む。
月に数回、テーマを決めて開催されるワインレッスンは、テイスティングしながらワイン談話に花が咲き、さながらサロンのような和気藹々とした雰囲気。「みなさんにもっと気軽にワインに親しんでいただければ。ワインは難しくないんですよ。美味しいかどうか、それが大切なのです」と磯崎さん。
「即興曲（アンプロンプチュ）」という名のワインショップには、味や香りが美しく響き合うワインの「調べ」を愉しむ雰囲気に満ちている。