9月号
【特集】神戸ファッション協会×台湾デザイン研究院 連携事業開始!|
8/5 淡路瓦×台湾デザイン研究院
今や〝屋根材〟だけではない「淡路瓦」とのコラボに期待
8月4日、関西国際空港に到着したTDRI一行は神戸ポートピアホテルに宿泊し、翌朝、淡路島へ向けて貸し切りバスで出発した。淡路瓦工業組合で竹澤英明専務理事から歴史と製品について説明を受ける。400年余の歴史を持つ淡路瓦は全国で瓦づくりが少なくなる中、現在でも日本の三大産地(三州、石州、淡路)の一つに数えられている。その理由について竹澤さんは「200万年前まで湖底にあった淡路島で堆積された瓦づくりに最適の良質の粘土があったため」、特徴については「他の産地にはない小ロット多品種に対応できる手づくりの工程が多く残っていること」と話した。
瓦は本来、建物を風雨から守る屋根材として使用されるが、景観材としての新商品が数多く開発され、ここ10年ほどで壁材・床材などへと用途が広がっている。日本だけでなく海外での施工例が紹介された。竹澤さんがサンプルを手に施工法を説明すると「おー!」と感嘆の声が上がり、瓦の割れ面の形状を生かしたデザイン性の高い「割肌ボーダー瓦」にデザイナーたちの注目が集まった。参加者から「床材として瓦は硬すぎないか」「どの程度の重量に耐えられるか」「摩耗はどの程度か」「施工に特殊技術が必要か」など質問が寄せられた。
専門職人「鬼師」が手づくりする「鬼瓦」と「鍾軌(しょうき)さん」の置物が紹介され、一行はそれらを製造する「株式会社タツミ」へと向かった。
〝優しい鬼〟とコラボ。
どんな顔を見せてくれるだろうか
タツミには淡路の鬼師11人のうち5人が在籍している。また、3つの窯がそれぞれ独特な色合いを出す淡路瓦プロジェクト「oiya」の窯の一つでもある。興津祐扶社長の案内で、鬼師たちが仕事をする鬼瓦工場へ向かう。型押しで製作するオリジナル商品と全工程を鬼師が手づくりする特注品があり、この日は淡路唯一の女性鬼師が注文を受けた「招き猫」を製作中。「デザインサンプルは写真でもよいのか」「最小・最大ロットは?」「一つだけでもオーダー可能か」「窯で焼ける作品の大きさは?」など、オーダー品に高い関心が寄せられた。
不純物を除去して板状にプレスされた材料を「200万年前の土です(笑)」と興津さんが紹介し、参加者は指先でつまみ、滑らかさやきめ細かさを体験した。約1000度の高温で焼成・燻化する窯、神社仏閣の鬼瓦修復作業の現場を見学し、併設の「Ibushi Gallery 瓦廊」へ。鬼瓦、鬼をモチーフにした置物や小物類が並ぶ。オリジナルのかわいい「鬼達磨」を手に「日本人にとって鬼は怖い存在?優しい存在?」と質問。予想外の問いに「守ってくれる優しい存在です」と答える興津さん。新しい視点から生まれるコラボ製品に期待が膨らむ。
昼食後一行は、淡路で175年の歴史を持つ「線香」を株式会社薫寿堂で見学し、明石海峡大橋を渡り次の訪問地へと向かった。