3月号
Mercedes-AMG A 35 4MATIC Edition1で走る 猪名川ロードクルージング
川は文化文明の揺籃だ。エジプトやメソポタミアもそうだし、日本の都市の多くは川とともにある。ゆえに川沿いには史跡や見どころが多いので、ドライブルートにも好適だ。兵庫県に川は数あれど、今回は一番東を流れる猪名川沿いを走り、流域のスポットを訪ねた。相棒は注目の次世代コンパクトAMGだ。
太古のキャピタル?田能遺跡
猪名川は摂丹国境の星降る山、大野山に端を発し、猪名川渓谷を刻み川西あたりから兵庫大阪との境界をなして、伊丹を経てやがて尼崎で神崎川に合流し大阪湾へ注ぐ全長43kmほどの河川で、阪神間では武庫川に次ぐ規模を誇る。神戸以西の人にあまり馴染みがないかもしれないが、清流から大都市へとドラスティックな変化も面白いし、水域には知る人ぞ知るスポットもあるので、ショートトリップにはうってつけ。思い立ってすぐに出かけられる距離感でもある。
今回はヤナセ西宮支店をスタートし、尼崎へ出て下流から上流へ川沿いを進んでいこう。「ハイ、メルセデス!田能遺跡へナビして」と、MBUX=メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンスに道案内を依頼。ついでに「ちょっと寒い」と声をかけ空調も操作。ボタン操作で視線を奪われないから安全だ。
都市の道は交通量があり、発車・停車・右左折と操作が多いが、Mercedes-AMG A35 4MATIC Edition 1はキビキビと走り小気味良い。ハンドルの取り回しも抜群。通勤や買い物など生活のシーンでも使い勝手が良さそうだ。
雑然とした家並みが途切れると、猪名川の川べりに出る。巨大な水道施設の脇に、そっと時間の流れをとどめるように竪穴式住居が建っている。田能遺跡だ。
時は昭和40年、高度経済成長まっただ中の阪神間、中でも尼崎は日本屈指の工業都市として君臨していた。その繁栄を支えるべく、新たな工業用水配水場が建設されたが、その現場から大量の弥生土器が出現。さらに木棺も出てきて、弥生時代における木棺埋葬を明らかにした、考古学史に残る大発見となった。
ところが当時は経済優先、発掘調査だけおこないあとは埋めて配水場をという風潮だったが、なんと市民から保護運動が巻き起こり、一部ではあるが保存されて国指定史跡となった。
敷地内は史跡公園として整備され、弥生時代の住居が復元され中にも入れるばかりか、貫頭衣を着て石器を使えばもう弥生人。子や孫とタイムスリップするにも格好だ。
出土品を展示する資料館も実に興味深い。出土した装身具によると、ここにはいまで言う知事クラスの人物が存在したそうだ。また、当時は海進の時期でこのあたりは海辺であり、狩猟、稲作、漁業、交易すべておこなわれていたという。つまり、田能はこの一帯の中心地、神戸の大先輩ということか。
ド迫力!伊丹スカイパーク
気付くと時々大きな音が耳に響く。そう、田能遺跡は伊丹空港こと大阪国際空港と目と鼻の先なのだ。2300年~1700年前にここで暮らした我々の祖先は、果たして人類が空を飛ぶ時代が来るなど想像できただろうか?
Mercedes-AMG A 35 4MATIC Edition1のハンドルを握ってわずか10分、土器石器の弥生から、最新のテクノロジーが空を往く令和へと戻ってきた。しかし、短時間のドライブでも感じられるくらい、小柄な車体でありながら運転する感覚はメルセデスらしいフィーリング。コントロールスイッチの操作性、シートやステアリングの質感、優雅なインテリアなど、細部にまでスリーポインテッド・スターのスピリッツに満ちている。
大阪国際空港周辺緑地(伊丹スカイパーク)は空港を一望する巨大な公園で、面積はなんと9ha。猪名川の川原から南東へ延びる3000mのメイン滑走路に並行して、小高い丘がある。ここに登るとパノラマが広がり爽快だ。
ほどなくして右手から飛行機がやって来た。ANAのB777が眼前を駆け抜ける。羽田から来たのだろうか、約400席もある巨大な機体は迫力十分。続いてイルカのデザインのかわいい機体が軽やかに。天草航空のプロペラ機だ。そしてJAL系列、J-AIRのエンブラエル190が離陸していく。北の空へ去って行く翼が旅情を誘う。
とにかくひっきりなしに離着陸があるので飽きず、滑走路の向こうにターミナルも望め、たくさんの飛行機が羽を休める姿も見える。フライト情報のモニタ表示もあり、お尻に根っこが生えそうだ。
でも、飛行機だけがここの魅力じゃない。遊具もいろいろ、売店もあり、草花も微笑み、芝生も広いからお弁当を持ってきてピクニック気分も良さそう。滑走路沿いのランニングや散策もほかではなかなか体験できない。また、ツツジの名所でもあり、夜景スポットでもあり、誰と一緒に来ても楽しめる。
飛行機マニアには伊丹スカイパークの南エントランスに隣接するスカイランドHARADAの駐車場もおすすめ。着陸するポイントが目の前にある。
源氏の源流、多田神社
猪名川に沿って北へ進む。信号の少ないリバーサイドウェイで、Mercedes-AMG A 35 4MATIC Edition 1としばし戯れよう。飛行機のジェトエンジンにはさすがに敵わぬが、2・0L直列4気筒ターボはレーシングテクノロジーに裏打ちされた力強さと高性能のトルクで、まるで翼を得たように俊敏な走りを生む。7速のAMGスピードシフトもスムーズで、視界もメーターも視認性良く運転が楽しい。
川西の市街地を抜けると緑が色を増す。国道を折れ狭い道に入ってもそう困らない小さなボディだが、車内に圧迫感などない。
ほどなく猪名川に架かる赤い橋が見える。多田神社の神橋だ。その下には岩盤が露出して巌をなし、勇ましく水が流れている。
平安末期から江戸の終わりまで、日本は武家社会だったことはご存じだろう。この間、武家の棟梁として君臨し続けてきたのが源氏で、多田はその発祥の地。多田神社は源氏の祖である源満仲公を始め頼光公、頼信公、頼義公、頼家公を祭神とする源氏と武士の守護神だ。
石段を登ると門が現れ、それを抜けるともう一つ門があり、土塀の向こうに拝殿が見える。お寺のような風情だが、これには理由がある。実はもともと多田院という寺院で、本殿裏手には満仲公、頼光公の御廟もある。明治時代の神仏分離で神社となったそうだ。
深閑な杜は凛とした空気に包まれ、その佇まいに威厳を感じる。檜皮葺きの本殿と拝殿は徳川四代将軍家綱公の命で普請された。ゆえに社紋の笹竜胆と徳川の葵の紋が随所に。時代劇好きなら土下座したくなるところだ。
創建は970年、長い間源氏の祖廟として崇敬を集めてきたが、戦国期に織田信長の焼き討ちに遭っている。実は今年の日曜夜8時の主役、明智光秀は源氏の系譜にあり、多田神社の恨みを本能寺で晴らしたのかもしれない。江戸時代になると大名家が檀家となり、春になれば島津家が寄進した唐椿が咲くという。また、今年の春は本殿の飾り金具の補修が終わり、煌びやかに輝く姿が拝めるそうだ。
「勝負」ではなく「勝武」の神様というのも面白い。負けはいらないという豪毅さは実に頼りになる。横綱・貴乃花と曙も訪れ、記念植樹を行っている。
女性が強いこの浮世、スマホという刀を携えた女子という名のサムライたちが多く参詣し、キティちゃん御守が人気だという。また、三ツ矢サイダーの発祥もこの近くで、その名は多田院の御家人、三ツ矢旗兵衛にちなむそうだ。
宝の山の記憶、多田銀銅山
武将が馬を駆るように、
Mercedes-AMG A 35 4MATIC Edition 1を駆ってさらに上流へ。猪名川町に入ったら途中で支流の銀山川の谷を遡っていく。ワインディングロードも名馬の如くレスポンス良く、上り坂でも軽々と駆け上がる。メルセデスは現代の駿馬といったところか。
たどり着いたのは多田銀銅山。奈良時代より開発され、奈良の大仏様のボディはメイドイン多田の銅が含まれていると伝えられている。また、多田神社に祀られている満仲公とも関わりがあるとされ、経済面から源氏の発展を支えたと想像される。
やがて豊臣秀吉の直轄となり、豊臣政権の財政を大きく支えた。「台所間歩」「瓢箪間歩」は、秀吉ゆかりの名が付されている。この時代の坑道はいまも残り、中には入ることはできないが、風がひんやり吹き出して、覗き見れば鏨の音が聞こえてきそうだ。
本格的に発展したのは天領となった江戸時代の寛文年間で、代官所が置かれその跡はいまも残っている。最盛期は年間で銀約5.6トン、銅約420トンがこの山から産出されたのだから、幕府の鼻息はさぞ荒かっただろう、多田神社の荘厳な本殿・拝殿が建立されたのもこの時期だ。当時は南蛮吹きという手法で製錬もおこなわれ、その様子は、交流施設、多田銀銅山悠久の館の展示で体感できる。
近代にも採掘が続き、製錬もここでおこなわれていた。悠久広場には明治時代の製錬所の煉瓦の遺構が聳え、古代遺跡のような風格を感じさせる。戦後も多田銀銅山では日本鉱業株式会社(現エネオス)によってしばらく鉱業は続けられたが、昭和48年にその役割を終え、いまは野鳥囀ずる森で栄華の欠片が往時をささやいている。
ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず…人生は、歴史の川の一掬に過ぎぬ。だからこそいまを自由に。そしてちょっぴり情熱的に。そう思うとまた、Mercedes-AMG A 35 4MATIC Edition 1で疾走したくなった。ここから猪名川渓谷ラインで鳥になろうか。新名神で風になろうか。
新車から中古車まで幅広いニーズに応える
ヤナセ 西宮支店
近年、西宮北口や夙川界隈などが、「住みたい町」として人気が高い文教地区・西宮。そんな西宮エリアの輸入車のニーズに応えるべく、2009年に移転リニューアルオープンしたのがヤナセ西宮支店。1,300坪あるという広々とした敷地の中には、色鮮やかな花々や緑が美しい植物が多く植えられており、訪れる者の気持ちを和ませてくれる。2号線沿いの好アクセス、カジュアルな雰囲気も手伝って、全国のヤナセ系列店の中でも新規顧客の割合が高い店舗でもある。販売台数も常に全国トップ5に入る実績を誇る。また中古車展示場が併設され、新車から中古車まで幅広いニーズに応えている。
株式会社ヤナセ 西宮支店
西宮市津門飯田町3-38
■電話 0798-66-3333
■営業 10:00〜18:00
■休業 日曜日が祝日の場合は営業いたします。翌火曜日を定休日とさせていただきます
尼崎市立田能資料館
兵庫県尼崎市田能6丁目5番1号 尼崎市立田能資料館
TEL.06-6492-1777
開館時間 10:00~17:00(入館は16:30)
休日 月曜日(月曜が祝休日の場合はその翌日)・年末年始(12月29日~1月3日)
入館料 無料
大阪国際空港周辺緑地(伊丹スカイパーク)
兵庫県伊丹市森本7-1-1
TEL.072-772-3447(パークセンター)
開園時間 9:00~21:00(4月~10月の土日・祝日は7:00~21:00 ※駐車場の入庫は20:30)
休日 なし
駐車料金 普通車100円/20分(最大料金なし)
多田神社
兵庫県川西市多田院多田所町1-1
TEL.072-793-0001
多田銀銅山
兵庫県川辺郡猪名川町銀山字長家前4-1
TEL.072-766-4800
開館時間 9:00~17:00
休日 月曜 (月曜日が祝日の場合はその翌日)・年末年始(12月29日~1月3日)
入館料 無料
DATA
Mercedes Benz AMG A35 4MATIC Edition 1
全長×全幅×全高 / 4,455×1,800×1,410mm
エンジン / 2.0ℓ 直列4気筒直噴ターボエンジン付
最大出力 / 225kW(306PS)/5,800〜6,100rpm
最大トルク/400N・m(40.8kgf・m)/3,000〜4,000rpm
車両本体価格 / 743万円(消費税込)