3月号
世界に誇る高級リゾートホテルをめざして
ウェスティンホテル淡路 総支配人 星野 美奈子 さん
昨年5月にウェスティンホテル淡路 総支配人に就任した星野さんは、豊富なホテル経験とインターナショナルな視野を持つ。
独自の視点からの淡路島の力についてうかがった。
ベッドから見た朝日の美しさ
―昨年、総支配人に就任される際は、どのような思いでしたか。
まずは「ウェスティン」というブランドがあり、加えて建物の設計は世界的な安藤忠雄先生によるものである、という大きな魅力があります。もともとこのホテルは、関西国際空港の埋め立てに用いられる土砂採取の場所であり、荒れ果てた土地を、自然環境の再生と、人と自然の交流のステージとしてよみがえらせた「淡路夢舞台」のランドマーク的存在として開業したという経緯があります。そのような施設面や建物のすばらしさがあるところに、ウェスティンというインターナショナルなブランドが加わりますので、世界に誇る高級リゾートホテルであると、お客様もスタッフもそう感じられるようにしたい、というのが最初の私の願いでした。
こちらに赴任する前に、一人で宿泊しに来たことがあったのですが、明け方にホテルの部屋のベッドから朝日が見えまして、とても感動したんです。特に関西では、こんなリゾートは他にあまり思いあたりません。そんな思い出もあり、これまで開業から20年のあいだ、先輩方が築き上げられたもの、それを引き継ぎながら、今の時代にあってできることをしていきたいと思いました。
―実際に就任されてからはいかがでしたか。
リゾートホテルの経験は初めてでしたので、まず繁閑の差が大きいなと感じました。ただ、その繁盛期に当たる夏に、小さいお子さんを連れて来られる若いご夫婦、また、ご高齢の方や車いすで来られる方、そのどちらもが非常に多いということに驚きました。というのは、つまり淡路島が阪神間、大阪からでも渋滞等がなければ車で約一時間あれば来られるという非常に好立地にあるということです。小さいお子さんや赤ちゃんを車に乗せて、あるいはご高齢の方が車に揺られてもストレスなく来られる距離。こういう方たちにも来ていただけるホテル、若いご夫婦がゆっくりしたいときにも選択肢にあがるホテルであることは幸せなことですし、私がここに来てから知ったことです。
―淡路島の印象は。
私は個人的に『古事記』『万葉集』など古典に興味があるのですが、関西はもちろん神戸周辺には百人一首や万葉集に出てくる地名がたくさんあって、まず東京から神戸に来たときに感激したのを覚えています。特に淡路島は、『古事記』で最初にできた島であるというまさにその舞台であり、伊弉諾神宮をはじめ、身近にそういう地名や場所もありますし、歴史を感じますね。それから私は花が大好きなので、水仙や菜の花のシーズンがとても楽しみです。歴史好きな方はロマンを感じられるでしょうし、お花が好きな方には四季折々の花々があり、風光明媚な景色や絶景、また食材の宝庫ですからグルメ好きの方も満足ができるなど、たくさんの魅力があるので、それぞれの方にご満足いただける島だと思います。
―淡路は食材の宝庫ですね。
赴任したとき、社長に「淡路島は食料自給率が100%超えています」と聞いて、びっくりしたのですが、同時に納得もしました。本当に食材が豊富で、またこういった豊かな自然の中で食事をするのもちがうでしょうしね。ホテルの朝食ブッフェでは、できるだけ淡路島、兵庫県内の食材を使用するようにしています。淡路島では、農家さんや漁師さんたちがいろいろな取り組みを自分たちで積極的に行っているのも驚きました。淡路島3年とらふぐや淡路島サクラマスなども美味しいと評判です。そういった地域の方とのコラボレーションができるのも魅力です。
―ホテルではどんな滞在を楽しんでほしいですか。
これまでの日本人の旅行のしかたは、ホテルに荷物を置いてどこかに観光に出かける、という形式が多かったのですが、昨今では旅慣れた方も増え、ホテルの中でゆっくり過ごすのを目的に来られる方も多くなりました。自分の時間を上質なものにしていただくために、ウェスティンホテル淡路を使っていただける方が増えるのはとても嬉しいことです。ホテルの近くには夢舞台や百段苑など、自然や絶景を楽しめるスポットもありますので、より豊かなリゾート空間を体験いただけます。また、仕事や家事に追われる生活にストレスを感じている女性の皆さまに、ホテルに宿泊して一人の時間を過ごしていただく宿泊プラン「ヴィーナスリトリート」が人気です。もちろん観光に来られた方には、島内の観光施設の入場券がついた宿泊プラン等も豊富にご用意しています。
ブランドを通して世界に発信
―今後はどのような取り組みを考えていますか。
以前、私自身が大阪から淡路まではこんなに近いのか、と驚いた経験がありましたし、関東の友人からは淡路島にはどうやって行くのかわからないといった意見がよく聞かれます。ですから今後は、主に首都圏に、淡路島の魅力、アクセスの良さなどをどうリーチさせていくのかが課題になっていくと考えています。
また、当ホテルには国際会議場が併設されており、年間を通して、国内、国際会議が開催され、国内外から多くの方にお越しいただいております。いわゆるリゾートMICE、豊かな自然やロケーション、質の良い空間の中での会議と、そして会議を終えた後はホテルでゆっくりお過ごしいただけるのも、魅力のひとつかと思います。ホテル内の環境としては、五感に訴える空間づくりを考えています。今まで日本のホテルでは「食」に比べると比重が少なかったと思われる「音」や「香り」などの五感に、心地よいと思われる空間を作ろうと話しています。
―海外のウェスティングループとしての連携は。
ウェスティンホテルは、2016年よりマリオット・インターナショナルの傘下のひとつのホテルとなりました。全世界に30ブランドのホテルを有し、会員組織は約一億人という規模ですから、そちらからの予約ソースを使ってのご利用も増えています。これは、取りも直さずそれなりに「ウェスティンである」ということに対する期待を持って来られるお客様が増えているということでもあります。私はリゾートホテルという形のホテルは初めてですが、外資系のホテルでの経験はありますので、インターナショナルホテルを標榜するホテルが、どうあるべきかというところは、もう少しスタッフとともにしっかり取り組んでいきたいと考えています。
星野 美奈子(ほしの みなこ)
大学卒業後、信託銀行を経て1990年ホリデイ・イン インターナショナル日本支社。2005年~(株)モルガン・スタンレープロパティーズでパノラマ・ホスピタリティの立ち上げに携わる。その後クラウンプラザ神戸、神戸ベイシェラトンホテル&タワーズ副総支配人、株式会社JALホテルズ ホテル日航大阪副総支配人を経て総支配人代理を歴任。
ウェスティンホテル淡路
TEL.0799-74-1111
淡路市夢舞台2番地
【IN】15:00 【OUT】11:00 【客室】201 【P】600台(無料)
https://www.westin-awaji.com