2019年
11月号
11月号
神戸のカクシボタン 第七十一回 ラーメン業界に輝く新星
写真/文 岡 力
高校球児の聖地「甲子園」からほど近い場所にあるラーメン店「麺や 白ぼし」。今日も美味いと評判の味を求めて多くのmen(麺)’sが集う。一風変わった店名は、「野球」に由来する。「スープの仕込みには18時間かけています」。そう語るのは、店主の水嶋慎吾さん。中学時代に鹿児島代表として軟式野球の全国大会に出場。そこでの活躍が強豪・神戸村野工業高校の目に留まり、迷うことなく地元を離れた。練習漬けの毎日、青春時代の全てを野球に捧げた。高校卒業後は、ボールを鍋に持ち替え飲食業界の道を志す。ウェスティンホテルで中国料理の調理師として懸命に働いた後、大手外食チェーンの店長を務め経営面でも実績を積んだ。
安定した日々を過ごしていたが自分の城を築きたいと思い独立を決心。開業に向けて各地の名店へ出向き研究を重ねた。名物「とんこつらーめん」は、部位の特性を活かしたこだわりの一杯。白湯スープは濃厚でありながらすっきりとした味わい、鉢に広がるチャーシューも肉厚で絶品だ。数量限定の「汁なし担々麺」は身も心もシビ辛の逸品。麺抜きで具だけをビールのアテにする常連客もいる。餃子や唐揚げなどのサイドメニューも充実。これからの季節、居酒屋使いやシメにも最適な場所である。「人が集まりやすい駅前にこだわりました。この地で長く続けていきたい」と語る水嶋さん。多くの店舗が点在する激戦区で更なる上を目指し挑戦は続く。
■麺や 白ぼし
西宮市甲子園口2─3─32
【営】11時〜15時/17時30分〜24時
(日・祝17時30分~22時)
【休】月曜
■岡力(おか りき)コラムニスト・放送作家
ふるさとが神戸市垂水区。関西の大衆文化をテーマとした執筆・テレビ、ラジオ番組を企画。連載・レギュラー「のぞき見雑記帳」(大阪日日新聞)「Oh!二度漬けラジオ」(YES-fm)