6月号
対談/個性を育む私立中学の教育 第7回 滝川第二高等学校・滝川第二中学校
日能研関西 代表 小松原 健裕
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滝川第二高等学校・滝川第二中学校 学校長 瀧川 好庸
学校は楽しく、感動を与える場でなくてはいけない
名門私立中学校の多くの塾生を合格させている日能研関西代表の小松原健裕さんと
関西名門校トップとの対談第2弾。第7回目は、滝川第二高等学校・滝川第二中学校 学校長の瀧川好庸さんに
ご登場いただきました。
男女共学私立校の先駆けとして開校した滝川第二高校
小松原 35年前、滝川第二高等学校が共学校として開校したのですね。
瀧川 今や男女共生社会ですが、私学の共学校が珍しい当時としては、英断だったと思います。男子校、女子校にもそれぞれ良さはあります。私は男子校育ちですから女子の目を気にせずのびのびと過ごせる良さを知っています。小松原さんもよくご存じかと思いますが(笑)。
小松原 そうですね、男子は女子に比べると幼いですからね(笑)。滝川第二高校開校にあたってこの地を選ばれたのもかなりの英断だったのではないでしょうか。
瀧川 瀧川学園は創立50周念記念にこの土地を購入し、当初は滝川高等学校野球部の合宿場を置き、練習場としていました。その地に1984年、クラブ活動に力を入れるというコンセプトで、滝川第二高等学校を開校しました。当時は西神ニュータウンも開発途上で、まだまだこれからという、そんな環境でした。
小松原 野球だけでなく、次々と好成績を収める運動部が増えてきましたね。
瀧川 野球部、そしてサッカー部を創設しました。サッカー部は全国大会に何度も出場し、全国制覇も果たしていますし、高円宮杯でも優勝しています。日本代表として活躍する卒業生も輩出しています。そして当時の高校としては珍しくゴルフ部も創設しました。陸上競技、卓球、剣道、野球、吹奏楽などとともに、好成績をあげてくれています。
中高6年間で一貫して滝川第二らしい教育を
小松原 中学校が新設された当時のことを、私自身は実際に見ていないのですが、今は共学の私立中学を望まれる方もたくさんおられ、滝川第二の存在はとてもありがたいと思っています。どういった経緯で新設に至ったのですか。
瀧川 私が関わり始めたころから、中学校開校の意気込みはありました。周辺の環境が今とは全く違っていましたから、「果たして小学校を卒業したばかりのお子さんをこんなところまで通わせるだろうか?」と自問自答し、しばらく延期していました。しかし私は滝川中高6年一貫教育を見ていましたので、次第に高等学校3年間だけで教育は難しい、滝川第二のカラーを生徒たちに伝えることはできないと考えるようになり、2004年に、中学校を開校しました。
小松原 特進一貫・進学一貫を、プログレッシブ特進一貫・特進一貫の2コースに組み替えられて、今年が最初の大学受験の年でしたが、結果はいかがでしたか。
瀧川 日能研関西さんからはいつも優秀な子どもさんを送っていただいて感謝しているのですが、今春の受験結果が満足のいくものであったかどうかは自問自答し、検証しているところです。
先生も生徒も新しいことにチャレンジ
小松原 新しいことを始めるのが滝川第二というイメージを私は持っています。中でも、オープンキャンパスで生徒が案内役を務めるというのは斬新でしたね。生徒たちは実際の学校生活をそのまま正直に伝えてくれます。当初は「大丈夫かな?」という不安もありましたが、質問にもしっかりと答えてくれて保護者に好評です。今では多くの学校で同様の取組みを取り入れています。
瀧川 キャンパスナビゲーターといって、生徒たちが学校内をくまなく案内し、質問にも答えます。学校を愛する生徒たちが、滝川第二の魅力を自分たちの目線で発信しようと積極的に参加してくれているのです。
小松原 「それはちょっと無理だ」と先生が止めたりしないところが滝川第二のいいところ。先生方が元気で、生徒は楽しくいろいろなことができる学校ですね。
瀧川 中学校をつくるときの一番のコンセプトが「学校は楽しいところだ。学校は感動を与える場だ」でした。多才、多芸で熱い先生方のお陰で、コンセプト通りの学校になっていると思っています。私が朝8時ごろに学校へ来ると生徒たちはもう、あちこちでいろいろなことをしています。あの子たちは一体、何時間学校にいるのでしょうか(笑)。月曜、火曜と勉強してちょっと疲れたら、水曜にいろいろな体験をする、伝統の「スペシャル・ウェンズデイ」もずっと続いています。畑で作った野菜をぶら下げて帰ることも(笑)。チームで何か一つのものを作り上げて発表する「クエストエデュケーション」も続けていますので、人前で発表するということに抵抗はないようです。プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力も付いてきていると思います。
時代の流れに対応できる
人間教育を
小松原 入試問題もユニークですね。日能研では毎年、入試問題トピックを紹介しています。学校が偏らないように気を付けているにもかかわらず、全科目で滝川第二の問題が入ってきます。それほど今までにない問題を出してこられます。子どもたちにとっては、過去問と違う問題が出てびっくり!というところでしょうか。もちろん対策は取っていますが(笑)。
瀧川 いろいろなことに挑戦することや周りとコミュニケーションを取ることを拒否する子もいます。生まれてきた時にはみんな同じはずですが、環境がそうさせているのではないでしょうか。頑なになった気持ちをほぐしてあげて、人間関係がうまく築けるようにして社会に出してあげるのが理想だと考えています。
小松原 子どもの将来に向けて「こういう教育をしていきます」ということがよく分かる学校が選ばれると思います。この先どうなっていくのかが読めない時代、「そんな社会に出て、新しいことにも対応できる教育をする」。滝川第二はそういうメッセージが伝わってくる学校です。
瀧川 学校も停滞してはいけない、常に動いていなくてはいけない。時代の流れ、例えば多様性やグローバル化、地球人という考え方に対応していける子どもたちを育てなければと思っています。もっと海外に出て行く生徒や帰国生など海外から来る生徒が増えていくような体制を作っていきたいと思っています。今後ともお力添えよろしくお願いいたします。
小松原 こちらこそよろしくお願いいたします。