4月号
神戸市医師会が阪神・淡路大震災20年市民フォーラム
復興 そして 未来へ
~迫りくる南海トラフ巨大地震への備え~ を開催
去る1月31日、神戸市医師会館4階大ホールにて、阪神・淡路大震災20年市民フォーラム「復興 そして 未来へ~迫りくる南海トラフ巨大地震への備え~」が開催された。これは阪神・淡路大震災から20年を迎え、犠牲になった方々への追悼の意を表すとともに、創造的復興を遂げた神戸への支援に感謝し、また東日本大震災被災地への復興支援を改めて誓うだけでなく、さらに、ここ数十年で発生する可能性が高いといわれている「南海トラフ巨大地震」に神戸がどこまで備えができているかを市民とともに考えようと、神戸市医師会の主催によっておこなわれたもので、当日は会場に多くの市民が駆けつけて聴衆が入りきらず、サテライトの会場も設けられた。
プログラムは3部構成。まずは黙祷からはじまり、置塩隆会長があいさつで趣旨を説明した後、復興への感謝をテーマに第1部の合唱が。ステージには神戸大学附属中等教育学校コーラス部のメンバー38名が登場し、阪神・淡路大震災からの復興ヘの願いを込めた名曲、「しあわせ運べるように」ほか5曲を見事なハーモニーで歌い上げた。第67回全日本合唱コンクール全国大会中学校部門で銀賞の実力を発揮するだけでなく、さり気ない抑揚と透明感のある歌声に心が込められており、惜しみない拍手が送られた。
続いて第2部では、東日本大震災の復興支援への誓いをテーマに、ピアノの演奏が。オーケストラとの協演などで世界を舞台に活躍、国立音楽大学准教授でもあるピアニストの久元祐子さんが、ショパンやモーツァルトの楽曲を奏で、その研ぎ澄まされた音色に聴衆たちは聴き入った。
休憩を挟んではじまった第3部は、迫りくる南海トラフ巨大地震への備えをテーマとしたパネルディスカッションがおこなわれた。まずは久元喜造神戸市長が「災害に強い神戸市の街づくり目指して」と題し、ハード面・ソフト面を合わせて、災害レベルなどの状況によって対応するという基本的な考え方から、非常時に水を供給する大容量送水管や、災害時に一部処理場が機能停止しても街の衛生を保つ、汚水幹線の整備といった具体的な対策まで、行政の災害対策などについてプレゼンをおこなった。
続いて神戸新聞社報道部デスクの石崎勝伸氏が、自身の阪神・淡路大震災の取材経験を交えた「次代に伝えたい震災20年の教訓」を主題とし、被災者に寄り添い思いを伝えることの大切さを語った。
魚崎町防災福祉コミュニティの松原功氏は、地域に根ざして実際におこなわれているコミュニティの取り組み、特に要援護者支援について興味深い話題を提供。顔の見える信頼関係の重要性を説いた。
最後は置塩会長が災害時の神戸市医師会の役割について、具体的な例を挙げながら支援体制や連携フローを解説。被災地の医師会であるがゆえに会員のモチベーションが高いことも合わせて紹介した。
また、来場していた神戸市歯科医師会の住谷幸雄会長や、神戸市薬剤師会の桂木聡子副会長も、災害時の口腔ケアや薬剤管理の重要性やその対応について発言した。
その後ディスカッションがおこなわれ、非常時への備えと普段の取り組みの重要性が語り合われ、最後は槇村博之副会長が「災害は時と場所を選ばない。被災するか救援するかに関わらず、備えることが大切」と総括、追悼の合掌で幕を閉じた。