2月号
ベトナム元気X躍動するアジア 第26回|ベトナム新年の近況―結婚式と絶対に戦争しない戦略―
私の勤務先であった流通科学大学のベトナム人卒業生フンさん(現在は「KIXビール」勤務)が、新年1月に結婚式すると言うのでベトナムを訪問した。ベトナムは中国や韓国と同様に旧正月「テト」(本年は2月17日)を祝う。したがって依然として市内やホテルではクリスマスツリーが散見された。今回は、ホーチミン市とハノイの近況を紹介する。
文・ 上田義朗
ブイヴィエン通りの喧噪
ホーチミン市のファングーラオ通りの周辺は90年代から、外国人の若いバックパッカーが集まる地区であった。そこに宿泊して隣接するブイヴィエン通りを歩いてみた。写真では表現できない大音響のバンド演奏を想像してほしい。
日本で言えば、新宿の歌舞伎町や大阪の戎橋周辺が想起される。こういった社会風俗における「ベトナム開放」の動向が注目される。
ハノイ大気汚染は大丈夫か?
ホーチミン市から首都ハノイに移動すると、ハノイの大気汚染が歴然となる。ベトナム政府は環境汚染対策のためにハノイ市内の全バイクをEV化する方針を昨年に出した。当然、市民の多数は反対。バイク現地生産のホンダやヤマハも絶対反対していた。
そこで政府は業務用バイクに限定してEV化すると方針変更した。バイクヘルメット着用義務化の前例では、当初の国民の反対で延期されたが、結局は死亡事故防止のために施行されて現在に至っている。ベトナム政府の民意に応じた柔軟な政策施行の手順は政権維持の決め手の一つである。
家族間の結婚は今日も続く?
招待状を頂戴したフンさんの実家はハノイ郊外のバクニン省であり、結婚式と披露宴は新郎と新婦の実家で開催された。これは出席する親戚や友人・知人の便宜を考えた選択である。
ベトナムでは家族と家族を結婚が結びつけるという意識が今でも強い。また新郎家族が新婦家族を訪問するという「儀式」も存在する。なおビジネスとして結婚式全体を設定・運営する専門業者が存在している。日本で働くフンさんと教師の新婦ハンさんは当面は別居状態となるが、ご両人の新しい生活を心からお祝いしたい。
ベトナムは「絶対に戦争しない」外交政策
ハノイのメリアホテル内のVIP訪問の記念写真の中に北朝鮮・キム最高指導者の写真を発見した。ベトナムは北朝鮮とも韓国とも良好な関係を維持している。同様に米国・中国・ロシアとも友好親善を発展させている。
ベトナム外交方針は「全方位」、最近では竹のように「柔軟・しなやか」と指摘される。それは「絶対に戦争しない」という政府・国民の強固な意思の反映である。経済発展のために「全方位」という見方は本質ではない。
ベトナムの「絶対に戦争しない」基本理念は、抽象度の高い「平和外交」よりも具体的である。さらに他国にも「戦争させない」積極的な政策に展開される。これはベトナムから日本が学ぶべきことである。また最後に再び、フンさんとハンさんの新生活の平和と発展を祈念したい。




■上田義朗(うえだ よしあき)
流通科学大学名誉教授
岡山学院大学・岡山短期大学理事
日本ベトナム経済交流センター日本代表
外国人材雇用適性化推進協会(ASEO)代表理事
合同会社TET代表社員・CEO












