2月号

美しきかな ひょうごの文化財|第十四回|白鶴美術館 本館・事務棟・土蔵・茶室崧庵(うすあん)
秀逸な美術品と共に守られてきた名建築
白鶴酒造七代嘉納治兵衛が蒐集した美術品を公開する「白鶴美術館」の開設時に建設された本館・事務棟・土蔵。竹中工務店施工、鷲尾九郎が設計を担当したといわれ、2024(令和6)年に90周年を迎えた。八代嘉納治兵衛が1956(昭和31)年に六甲の地から移設した茶室「崧庵(うすあん)」と合わせ、4つの建造物が国の登録有形文化財に指定されている。
寺院建築風の本館2階展示室には、南向きに大きなガラス窓の開口部が並ぶ。四季折々、日々刻々と変化する自然光で蒐集品を鑑賞してもらいたいという七代治兵衛の意図が見て取れる。ガラス窓外側に設けられた鉄扉と銅版葺の屋根の重みを2つの展示室の大空間で支え、耐震・耐火という七代治兵衛の持論を全うするには、純和風建築でありながら鉄骨鉄筋コンクリート造とする必要があったと推測されている。同じく鉄筋コンクリート造の事務棟は木造真壁造風に和瓦、ガラス窓に鉄扉はなく、機能重視の建物。土蔵は伝統的な木造土蔵造で、現在も所蔵庫として活用されている。展示・管理・保存という役割を果たす建物が渡り廊下でつながれ、美術館としての機能が確立されている。主役は美術品とし、華美な意匠を凝らすことはなかったが、控えめに施された鶴の装飾を見つけることができる。
七代嘉納治兵衛の持論に基づき造られた建物は、秀逸なコレクションとともに震災も乗り越え、大きく変わる自然環境への対応に苦慮しつつも守られ、九十余年にわたり受け継がれている。

事務棟から本館展示室へと向かう渡り廊下。土蔵ともつながっている

本館1階。ほぼ開設当時のままの状態で保存されている

寺院建築風の本館。中庭中央の灯篭は、特注された東大寺大仏殿前の金銅八角灯篭の写し
白鶴美術館
神戸市東灘区住吉山手6-1-1
TEL.078-851-6001
開館期間
毎年春と秋の年2回。2026年春季展は3月3日(火)から開催予定
開館時間
10:00~16:30 (入館は16:00まで)
休館日
展示会期中の毎週月曜(祝日・振休の場合は翌日)、および展示替え期間
入館料
大人:800円、
65歳以上・大学・高校生:500円、
中学・小学生:250円












