2025年
4月号
4月号

ビフテキのカワムラで〝本物〟の神戸ビーフを心ゆくまで
ビフテキのカワムラ加古川店
6席のカウンター、8席のテーブル2つ、10席の個室で計32席とカワムラの中で最も規模が小さいが、その歴史は神戸本店に次いで長い。但馬牛の飼育が盛んで、市内の食肉市場では神戸ビーフも出荷する牛肉の本場ゆえ、加古川の人たちは肉の味にうるさいというが、そんな土地柄で半世紀近くにわたり愛されてきたことはカワムラのクオリティの高さの証左でもある。
来店客のほとんどは地元のファミリー層だが、大企業や世界的企業も拠点を置く街なので接待利用も多く、神戸ビーフと他県産黒毛和牛の食べ比べコースが人気だとか。
どこかホッとするアットホームな雰囲気と、地域密着ならではのさり気なく温かなおもてなしで、極上のビーフをさらに美味しく食べさせてくれる。なるほど、リピーターが多い訳だ。
神戸ビーフのプロフェッショナル カワムラがお届けする神戸ビーフ講座⑫
神戸ビーフの原点は雌
前回ご紹介したように、神戸から船で送られてきた牛のお肉の美味しさが横浜で評判になったことが神戸ビーフの原点です。その牛たちは神戸ではなくその近郊、主に三田など有馬郡から集められたようです。
当時、牛は基本的に農耕用の家畜で、有馬郡では小型で扱いやすく大人しい但馬牛の雌が好んで飼われていました。土壌的に雄牛のパワーが必要な低湿地ではないので、雌牛の力でも十分に耕せたようです。
つまり、美味しいと絶賛されたのは、但馬牛の雌のお肉だったと思われます。カワムラでは基本的に肉質のきめが細やかな雌牛を厳選していますが、それは歴史的側面からもひときわトラディショナルで本質的な神戸ビーフといえるでしょう。