2024年
4月号

未来を駆ける神戸の新風 VOL.11|食の可能性を切り拓く! 時代と共に変化するニーズに挑んできた企業の新たな挑戦!

カテゴリ:グルメ, 神戸, 経済人

今回、取材したのは、惣菜店「RF1」や「神戸コロッケ」などを展開している株式会社ロック・フィールド(神戸市東灘区)。
1965年に神戸元町で開業した欧風レストランをルーツとし、1972年に、いち早く持ち帰り惣菜(中食)ビジネスで創業。日本の高度経済成長期、女性の社会進出が進む中で、家庭内の家事、とりわけ炊事を誰が代行するのかという着眼点で大きく成長した。
常に時代とともに変化する「食」における課題解決をしながら新価値惣菜を提案してきた同社。2022年に創業50周年を迎えてもなお、食の新たな可能性の開拓に取り組んでいる。
その想いを、代表取締役社長・古塚孝志氏に聞いた。

ROCK FIELD ロゴ

創業50周年を機に、シンボルマークを新設した

シンボルマークとともに掲げた「ビジョン2030」

創業50周年(2022年)を機に、シンボルマークを新設されましたが、その意図をお聞かせ頂けますでしょうか?
当社はこれまで、「RF1」を始めとしたブランドに評価を頂いてきたのですが、「RF1」というブランドをご存知でも、「ロック・フィールド」という社名をご存知でない方もいらっしゃる状態でした。
そんな中、コーポレートがメインに来るのか、ブランドがメインに来るのか、というのは難しい問題なんですが―。創業50周年というタイミングで会社を振り返った時に、我々は、人々の暮らしを豊かにする「食文化」をつくりあげてきた、「ロック・フィールド」の歴史、創業者の精神を、DNAとして引き継いでいくには、改めてコーポレートをしっかりと前に出す必要があると感じたんです。そのためには、会社のシンボルマークを作って、そこに込めた思いを全員で共有しながら進めていくことが重要だと考えました。

神戸の山と海と空がモチーフになっているそうですね。
はい。やはり創業の地ということで、六甲山から見た景色の中に、神戸を大切にしていきたいという思いを込めました。何度も昇る朝日と緑の大地は、つねに自然とともにあり、絶えずフィールドを切り拓いていくチャレンジ精神を表現しています。

シンボルマークとともに、「ビジョン2030」そして中期経営計画も策定されました。
当社が2030年にありたい姿である「食の可能性を切り拓き、豊かな未来を共創する。SUSTAINABLE FOOD COMPANY」というビジョンと、その実現へ向けた取り組みを定めました。
「食」の可能性には終わりがない、と感じています。例えば、日本国内を見ても、その土地で古くから作られてきた伝統野菜とか、市場には出回らないこだわり野菜など、すごく食材が豊かです。ただ、なかなかそれがうまく活用されないとか、後継者がいなくて消えてしまいそうだとか、もったいないものがたくさんあると思うんです。それらをうまく組み合わせて調理をして、新たな惣菜を生み出し、もっともっとアレンジしていくことで、可能性を広げたい。そして、そこからさらに広がる食の可能性に目を向けて、人の活力、元気になれるものを提案したいなという思いを、このビジョンの中に込めています。

食の可能性を切り拓く一石!新ブランド「RFFF」

そんな具体的な動きが、こちらも2022年に立ち上げた、新しいブランド「RFFF(ルフフフ)」でしょうか。
そうです。こちらは、当社が半世紀にわたって、惣菜としてのチルド料理で培ってきたノウハウで仕上げた“冷凍食品のブランド”です。「RFFF」というブランド名は、「Rock Field Frozen Foods」の頭文字をとり、「るふふふ」と笑みのこぼれるご褒美時間の喜びを表現しています。

新しいブランドを立ち上げたのは、「コーポレートを前に打ち出す」狙いもありますでしょうか?
はい。どうしても既存のブランドに枠組みを括ると、それに引っ張られてバリエーションや考え方が広がらない可能性があります。
なので、ロック・フィールドが手がける冷凍食品として、ジャンルなどに捉われることなく、商品開発にチャレンジしていきたいという思いもあって、新しいブランドを立ち上げました。

冷凍食品は競合も多い分野だと思いますが、なぜいま、あえて冷凍食品なのでしょうか?
そうですね。いま、冷凍食品は使われ方がすごく広がってきているんですね。例えば、日常で使うもの、お弁当に使うもの、ストックとして…色んな用途がある中で、我々にしかできない、上質な冷凍食品を手掛けることができないのかな、と思ったのが理由です。
当社は、創業時のコンセプトが「レスランの味をご家庭に」ということで、企画開発から素材選定と調達、調理に至るまで自社で手掛けたチルド惣菜を展開してきましたが、日持ちがしないので、近くにショップがないお客様のご家庭に届けられなかったり、贈答品などには向かない、という弱点もありました。そこにもアプローチできるよう、単なるストック的なものではなく、週末などにご褒美として楽しんで頂けるクオリティの高いものを作り、競合との差別化を図っています。

特にこだわった部分を教えて下さい。
食材の調達、厳選というのはこれまでと変わりません。また、調理においても、ものすごく手間がかかっています。スープ1つとっても、野菜を炒めてうま味を引き出すところから始めています。メニュー自体も、無理に冷凍して意味がないものを作っても仕方ありませんので、しっかり吟味しています。

新しい文化が生まれるとしたら神戸

ブランドを立ち上げて2年目ですが、手ごたえはいかがでしょうか?また成長戦略をお聞かせ下さい。
手ごたえは感じています。実際に売り上げも伸びてきていますし、新規の小売店さんからの引き合いやリピーターの方も増えて来ており順調です。
そんな中で、我々が本格的にこの分野に参入するにあたって、もっとお客様とのタッチポイントを増やして成長を促していきたいと思っています。
それと少し関連するのが、「ロック・フィールド メンバーズ」という会員組織です。会員の皆様の多くが実店舗にお越し頂いている方ですが、オンラインショップで「RFFF」が買える、ということをご存じない方もいらっしゃるので、メンバーズの中でお伝えして、すそ野を広げています。
まずは足元の中計3ヶ年をしっかりやって、「RFFF」を大きな柱に持っていきたいと思っています。

最後に、御社にとって神戸とは?
神戸は色んな食文化が発展している土地だと思います。洋食、洋菓子、中華もそうですね。食の可能性を切り拓いてきた土壌があり、新しい文化が生まれるとしたら神戸じゃないかなと、思っています。
そんな中で、会社としても、食の可能性を広げつつ、それをもとに神戸の魅力も、もっと発信していきたいと考えています。

ルフフフ(RFFF)ロゴ

北海道産帆立と海老のハーブグリル(RFFF)

黒毛和牛のビーフドリア(RFFF)

ベーコンとほうれん草のフロマージュキッシュ(RFFF)

プライムビーフのローストビーフ(RFFF)

株式会社ロック・フィールド 代表取締役社長
古塚ふるつか 孝志たかしさん

1965年、西宮市生まれ。1988年4月に株式会社ロック・フィールドに入社。主に生産畑を歩み、主力工場である静岡ファクトリーの立ち上げなどに携わる。2007年、執行役員静岡ファクトリーマネージャー、2013年常務取締役、2014年から16年まで代表取締役社長を務める。16年に専務取締役に戻り、17年副社長、18年7月から現職。

株式会社 ロック・フィールド本社

(神戸ヘッドオフィス・神戸ファクトリー)
神戸市東灘区魚崎浜町15-2
https://www.rockfield.co.jp/

〈プロフィール〉
蔭岡翔(かげおか しょう)

放送作家・脚本家
神戸市東灘区在住。関西の情報番組や経済番組などを企画・構成。日本放送作家協会関西支部監事。日本脚本家連盟関西地区総代

〈取材を終えて〉

ロック・フィールドと言えば、RF1のショーウィンドウが示す通り、盛り付けのスペシャリスト。残り少なくなったサラダでも、とても美味しそうに盛られており、つい食指が動く。そんなロック・フィールドでも、“写真”となると勝手が違うそうで、RFFFにおいては、如何に美味しそうに、そして温かく写真に収めるか、ということに現在進行形で研究を重ねられているというお話は興味深かった。ちなみに、大切にしているイメージは「食卓」だそう。リーフレットなどを拝見すると、サラダやワインが並ぶ食卓に商品であるグラタンなどが映っている。また器にもこだわっているそうだ。確かに、食べるに至っても、盛り付け一つで味わいが変わってくるものだ。ユーザーとしてもお手本となるのはありがたい。現状でもとても美味しそうなビジュアルであるが、さらにここからどう進化していくのか、ブランドの成長とともに楽しみにしたい。

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