9月号
美しいものをたくさん見て、 楽しく丁寧に生きる|
Only my best Life Collection ー美の空間を紡いでー
生活空間コーディネーターの中島典子さん。心を和ませてくれる「書」とダイナミックな「陶芸」、そして四季折々の「しつらえ」を長年にわたって紹介してきた。「これが最後」という作品展を7月27日から29日、ホテルオークラ神戸で開いた。会場を訪ね、作品のことや今までのことなどお話を伺った。
「若いころ、貿易の仕事で忙しく飛び回っていました。『いつまでこんなことをやっているのかなあ。自分の感性でものを作って暮らしたら楽しいんじゃないかな』と考えるようになり、ずっとやりたかったろくろを使う陶芸を始めました」
常識にとらわれない造形物を次々と生み出し、1年後に開いた作品展では個性的な作品のみならず、斬新な空間づくりで周囲を驚かせた。
制作動機も個性的。「カサブランカを飾りたい」。制作した花瓶は強烈なインパクトのある超大作。「大好きな石阪春生画伯の絵のための額縁を作りたい」。出来上がった作品は画伯を「ほー」と感心させた。「釉薬をかけて描いてみたらどうだろう」という発想から生まれたヒョウ柄は「こんな柄は世界中どこを探してもない」と見る人の目を楽しませている。アイデアが浮かぶと工程のすべてをイメージしてから制作に取り掛かる。作品のあちこちに隠された〝遊び心〟はフフッと笑えて、心が和む。豊かな感性と創造力はどこで養われたのだろうか。
「子どものころ父が元町商店街の丸善で買って来てくれる海外の雑誌を見るのが楽しみでした。色彩感覚はそこで養われたのかもしれません。周りの影響で書は幼いころから身近にありました。常に美しいものに触れることは子どもにはもちろん、年齢を重ねてからもとても大切なことだと思います」
遊び心を持ち、リラックスして、インテリジェンスを持ち、美しく、楽しく。人生のマナー「遊・休・知・美」を心に刻んでおきたい。