8月号
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すずらんホールで農村歌舞伎を上演
7月15日に北区のすずらんホールで「第十回すずらんホールに農村歌舞伎がやってくる!!」が開催された。北区の山田地区に伝わる農村歌舞伎の伝統を受け継ぐ神戸すずらん歌舞伎の定期公演としておこなわれている催しで、今回も多くの観衆が集った。
前半は、園田学園女子大名誉教授の田辺眞人先生が北区の文化遺産をテーマにレクチャー。古代から山陽道のバイパスとして発展してきた山田地区の歴史と、現在も残る貴重な文化財について解説した。その象徴が北区に残る農村歌舞伎舞台で「山田はかつて13か村に14もの舞台が点在した日本屈指の農村歌舞伎の里で、建築年がわかる最古の農村舞台も北区の淡河にあるんですよ」と田辺先生。
後半はまず、演劇指導を担当しているNPO伝統文化みらい塾代表の立花志十郎先生がこの日の演目『伊勢音頭 恋寝刃 油屋の場』のストーリーと見どころを紹介。実際に起きた殺傷事件を近松徳三が歌舞伎に仕立てたという。
そして幕が上がると、そこは伊勢の遊郭、油屋。ここで展開する阿波藩の宝刀、青江下坂とその鑑定書をめぐるサスペンスを、神戸すずらん歌舞伎のメンバーが熱演!見得が決まるとおひねりが飛び、台詞をとちると大爆笑、衣装の重さによろめくのもご愛敬で、それを含めて庶民的な素人芝居の魅力と言えるだろう。最後は座員全員が並び、観衆が大拍手で応えた。
神戸すずらん歌舞伎は主に北区在住の市民で結成されている。11月5日(日)にはあいな里山公園農村舞台で公演予定だ。一方で役者・裏方ともメンバー不足に悩まされ、このままでは伝統を繋ぐことが難しくなりかねないとか。基本的に月2回の稽古に参加できれば誰でも加入OK。初心者も歓迎で、まずは体験会へぜひ。地域の伝統芸能に触れ、文化財の舞台で演じることもできる。そんな得難い体験は、きっとあなたの人生の糧になるだろう。詳しくは神戸すずらん歌舞伎まで。
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演目は約90分、台詞を覚えるだけでも大変だ
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終演後はやんややんやの拍手の渦
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立花志十郎先生はこの日、役者としても大活躍!
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勘亭流の看板は裏方さんの手描き
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神戸の文化の深さを語る田辺眞人先生
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妖刀、青江下坂で斬る迫真のシーン!
神戸すずらん歌舞伎
TEL. 078-593-1548(蓮田)